天若日子
(あめわかひこ)
高天原から中津国に派遣されたが現地で結婚して帰らず、使者を殺してしまったため殺されることになった 天若日子は大国主神の娘下照比売(シタテルヒメ)と結婚し、高天原に戻らなかった。そこで天照大御神と高御産巣日神は雉の鳴女(ナキメ)を遣して戻ってこない理由を尋ねさせた。...彼は遣わされた時に高皇産霊神から与えられた弓矢で雉を射抜いた。...その矢は高天原まで飛んで行った。その矢を手にした高皇産霊神は、「天若日子に邪心があるならばこの矢に当たるように」と誓約をして下界に落とす。すると、その矢は寝所で寝ていた天若日子の胸に刺さり、彼は死んでしまった。 下照姫との恋に溺れて使命を放棄し、その罪によって亡くなるという悲劇的かつ反逆的な神として、民間では人気があった。平安時代の『うつほ物語』、『狭衣物語』などでは天若御子の名で、室町時代の『御伽草子』に収録されている『天稚彦草子』では天稚彦の名で登場し、いずれも美男子として描かれている。