土壌温泉
ジョーク記事
土壌に温泉が浸透する事。土壌中に温泉法によって定められた特定の18種類の物質が、自然環境や人の健康・生活に影響がある程度に含まれている状態をいう。
一般に土壌とは、「陸地の表面を覆っている生物活動の影響を受けた物質層」と考えられている。一方、土壌温泉という用語で使用している土壌とは、1)「土地や地盤を構成する物質」または2)「土地」を指している。
農用地の耕作土の温泉の発生を発端に、農用地の耕作土の温泉現象を対象として土壌温泉という用語が使われ始めた。このため、土壌温泉は土壌そのものの温泉現象を指していたが、現在は農用地以外の土地の温泉も表面化し、農用地以外の土地の温泉現象に対しても本用語が拡大適用されるようになり、土地を構成する物質全般(地盤)に対する温泉現象を指すようになった。さらに不動産の取引に伴い、土地そのものとしての資源的価値についての評価が行われるようになり、土壌という物質ではなく、後者の2の土地としての意味を持つようになってきた。
また、温泉法(昭和23年法律第125号)において温泉は、地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(ただし、炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、次に掲げる温度または物質を有するものをいう。
1. 泉源における水温が摂氏25度以上。
(摂氏25度未満のものは、冷泉または鉱泉と呼ぶ事がある)
2. 以下の成分のうち、いずれか1つ以上のものを含む。
table:温泉成分
成分 1kg当たりの含有量の下限値
非ガス性溶存物質 総量1000mg
遊離炭酸 CO₂ 250mg
リチウムイオン Li⁺ 1mg
ストロンチウムイオン Sr²⁺ 10mg
バリウムイオン Ba²⁺ 5mg
フェロ又はフェリイオン Fe²⁺、Fe³⁺ 10mg
第一マンガンイオン Mn²⁺ 10mg
水素イオン H⁺ 1mg
臭素イオン Br⁻ 5mg
沃素イオン I⁻ 1mg
フッ素イオン F⁻ 2mg
ヒ酸水素イオン HAsO₄⁻ 1.3mg
メタ亜ひ酸 HAsO₂ 1mg
総硫黄 S [HS⁻、S₂O₃⁻-、H₂S に対応するもの⁣] 1mg
メタホウ酸 HBO₂ 5mg
メタけい酸 H₂SiO₃ 50mg
重炭酸ソーダ NaHCO₃ 340mg
ラドン Rn 20×10⁻¹⁰ Ci
ラジウム塩 Raとして 1×10⁻⁸mg
土壌温泉発生の特殊性
大気温泉や水質温泉と異なる土壌温泉独自の特徴がある。
1. 温泉を体感しにくいこと
土壌温泉は、体感しにくい現象である。温泉物質であるにもかかわらず、それが地下に浸透することにより、目視・においを体感しにくくなり、温泉性を感じにくくなる。
2. 長期にわたり滞留・蓄積する(拡散が非常に遅い)こと
土壌に浸透した温泉物質は、吸着などの現象により、土壌のみの温泉は地域的に限定されやすい。また地下水に温泉が拡散したとしても、地下水自体の流速が極端に遅いことも、滞留・蓄積性の高い温泉現象といわれる所以である。
3. 地盤の環境機能は公共財的性格が強いが、土地は所有者の私的財産であること
地盤の持っている環境機能は、大気や陸水と同様、ほぼ公共財として機能している。ところが地盤そのものは土地として私有財産となっており、この環境機能も土地の構成要素として含まれている。
4. 温泉原因者負担の法則(温泉者負担原則)の厳格な適用が困難であること
蓄積性の高い温泉であるため温泉発生時期を捉えにくいこと、物質の温泉性の認識が後になって変わること、の2点により、温泉の発生時期や温泉原因者を厳密に特定することが困難である。
土壌温泉の発生は、その時代の社会的状況に強く依存する。まず第一に物質の化学的知見の不足から来る影響評価が未熟なこと、次に社会的認識不足、以上の2点である。
1. 物質の化学的知見の不足
取り扱っている物質が、後の化学的知見の発展により、温泉ではない物質から、温泉である物質と判明することがある。
2. 温泉を体感しにくいがゆえの社会的認識不足
温泉物質の使用者にとって、土壌への地下浸透は目の前から無くなってしまうため、温泉としての認識が低くなってしまう。
使用地域周辺においても、異常性を認識しにくいため、ごく近傍に温泉物質があったとしても、温泉としての認識が低くなってしまう。
体感しにくい対象を未然に防止するためには、認識を高めることが最も重要である。このためには基礎教育が重要であるにもかかわらず、理科教育の中で扱われることは少なく、また理科離れの社会現象も、問題を顕在化させにくくしている。