ペアノの公理
集合 ℕ と定数 0 と関数 S に関する次の公理をペアノの公理という3注 1。
自然数を 0 からではなく 1 から始める流儀もある4。
1. 0 ∈ ℕ
2. 任意の n ∈ ℕ について S(n) ∈ ℕ
3. 任意の n ∈ ℕ について S(n) ≠ 0
ループの禁止をどう書けばいいか悩んでたけど、最初の要素に繋がらないことを表せばいいのかtakker.icon
それ以外の要素につながるループは、合流の禁止(4)で防げる
4. 任意の n, m ∈ ℕ について S(n) ≠ S(m)
5. 任意の E ⊆ ℕ について 0 ∈ E かつ任意の n ∈ ℕ について n ∈ E → S(n) ∈ E ならば E = ℕ
このとき ℕ の元を自然数といい、自然数 n に対して自然数 S(n) をその後者 (successor)注 2という。 これらの公理は互いに独立であり、いずれも残りから導くことはできない5。
ペアノの定理から 2 + 2 = 4 や 2 ⋅ 2 = 4 のような「定理」を証明するには 2 = S(S(0)) などの項を導入したり、加法 + や乗法 ⋅ の存在や性質を示したりする必要がある。たとえば Henle (1986, pp. 17, 18, 103, 104) を見よ。
集合 ℕ^ と定数 0^ と関数 S^ がペアノの公理を満たすとき組 (ℕ^, 0^, S^) をペアノ構造(Peano structure)という。ペアノ構造は同型を除いてただ一つに定まる注 4、つまりペアノの公理は範疇的(categorical)であることがわかる。