ヒプナゴジア
ヒプナゴジア(hypnagogia)とは、覚醒状態から睡眠状態への移行(入眠)時における半覚醒状態のことである。逆に睡眠状態から覚醒状態への移行時(起床時)の半覚醒状態をヒプノポンピア(英語版)(hypnopompia)というが、広義にはこれもヒプナゴジアに含まれる。この「閾値意識」の段階で起こる可能性のある精神現象として、幻覚、明晰思考、明晰夢、金縛り(睡眠麻痺)などがある。ヒプナゴジアの状態における幻覚を入眠時幻覚(にゅうみんじげんかく、hypnagogic hallucination)という。
ヒプナゴジア状態において問題解決のための洞察が得られることがある。アウグスト・ケクレがストーブの前でうたた寝をしていたときに、分子が蛇になり、自分の尻尾を咥えて輪(ウロボロス)になる幻覚を見たことで、ベンゼンが環状構造であることに気づいたという話はよく知られている。他にも多くの芸術家、作家、科学者、発明家が、ヒプナゴジア状態で創造性が高められると主張している。その中には、ベートーヴェン、リヒャルト・ワーグナー、ウォルター・スコット、サルバドール・ダリ、トーマス・エジソン、ニコラ・テスラ、アイザック・ニュートンなどがいる。ハーバード大学の心理学者ディアードレ・バレット(英語版)は2001年の研究で、睡眠の後半の完全な夢の中でも問題を解決することはできるが、ヒプナゴジアでは、幻覚的なイメージを目前にしている状態でそれを批判的に検討することができることから、問題をより解決しやすいことを明らかにした。
ヒプナゴジア的な現象は、体験者の信念や所属する文化に応じて、預言、予知、霊的体験(英語版)、霊感として解釈されることがある。
ヒプナゴジア - Wikipedia