オイラー式数学
オイラー式数学とは「エレガントな問題解決」で紹介されている議論の方法を指す 恐らく一般的な用語ではない
ここではその具体例には触れないが,その精神を説明するために該当部分を引用したい
オイラー式数学
最後の数ページでは,意識的に厳密さにはこだわらないようにした.技術的にとても難しい問題をはらむからというのも理由の1つだが,基本的には,厳密さや技術的な問題に気をとられていると創造的に考えにくくなってしまうからだ.以下に挙げた2つの場合には特にそうなる.
何かを調べはじめたばかりのとき
数学を学び始めたばかりのとき
もちろん厳密になるのも悪くないのだが,厳密でない議論にも意味があるということは強調しておく.ぼんやりとしたひらめきからやがて厳密な証明が生まれるのだ.それに,厳密な証明により議論の本質が曖昧になる場合もある.
言うまでもなく,厳密ではないが素晴らしい議論とでたらめな思いつきとの差は紙一重だ.この2つの差を説明するために「オイラー式数学」の例を紹介する.ここでは,オイラー式数学という言葉で,厳密さに欠け(ある意味では)正しくないかもしれないけれども,とても面白い数学的な事実を導く議論を指す.オイラー式数学という名は18世紀のスイスの数学者レオンハルト・オイラーに敬意を表して付けた.オイラーはグラフ理論と母関数の方法論の草分けとして特に知られている.現代の基準で測るとオイラーの議論は厳密さや正確さに欠けることがあるが,彼の考え方の多くはとても独創的でためになる.