まだ背負っているのか
明治の禅僧、原坦山(はらたんざん)の逸話
原坦山 - Wikipedia
ある時、二人は橋のない小川にやってきた。
少し離れたところに小川の流れを困った顔で見つめている若い女性が立っていた。
坦山「私が背中におぶってあげます」
女性を背負った坦山は小川へと足を踏み入れ、女性を向こう岸まで渡してあげることに無事成功。
そして岸に上がると、礼を言う女性を残してさっさと先へ行ってしまった。
心中穏やかでないのは、これを見ていたもう一人の修行仲間。
「修行中の禅僧たる者が女性を背負うとは何事か」
との思いが頭から離れず、坦山の行為に対する怒りの念がいつまでもくすぶっていた。
それは二人でまた歩き出してからしばらく経っても消えず、悶々とした心が続いた。
そしてやがて心の中に留めておくことが我慢ならなくなってしまい、坦山に向かって咎めるように口を開いた。
「さっきのは何だ。お前は修行中の身だろう。若い女性をおんぶするとは何事だ」
すると坦山は驚いた顔を見せて、すぐに笑い出した。
「俺はあの女をとっくに下ろしているのに、お前はまだ背負っているのか。あっはっは」
女性に執着していたのは、はたしてどちらだろうか。
【原坦山】 読後に、思わず「なるほどねぇ」と唸る禅僧の逸話 - 禅の視点 - life -
まだ抱いてたのかだと思ってた(要確認)nishio.icon
人生は重き荷を背負うてゆくがごとし(無関連)cFQ2f7LRuLYP.icon
調べてみると『坦山和尚全集』(秋山悟庵篇、光融館、明42.11)には微妙に違う話が載っているhatori.icon
坦山和尚全集 - 国立国会図書館デジタルコレクション
徳翁了高(徳翁良高か?)の逸事に似ている、ともある