『ユリシーズ』のあらすじ
ユリシーズのあらすじ
スティーブンは母を亡くして落ち込んでいる
ブルームはこの日に妻が情夫と家で逢う約束をしているのを知っており、家に帰らないようにウロウロする 友人の葬式に出たり、広告の仕事のために新聞社に行ったり、図書館に行くついでにかもめにケーキをやったりする あと海岸沿いで...
20年間放浪した英雄の物語を、一日ダブリンをうろつく寝取られ中年夫の物語とする ナボコフはこの対応関係自体はブルームの街あるきのなかに、ホメーロス的な流浪の主題の反響が、ごくかすかに、たいへん漠然と響いているのは明らかであるというが、またこの小説のあらゆる登場人物、あらゆる場面のなかに古典との親密な並行・対応を探し出そうとするのは、まったくの時間の浪費であるだろうともいう ここがこの話に対応していて、ここはオデュッセイアのパロディなんですよ〜とひたすら関連付けるような態度は「時間の浪費」なんでしょうね
じゃあ何を見るべきかというとブルームと運命という主題である
1. 取り返しのきかぬ過去。ブルームの息子が幼くして死んでからすでに久しい、が、その子の面影はいまなお彼の血と頭のなかに生きつづけている。
2 滑稽で悲劇的な現在。ブルームは妻のモリーをなお愛している、が、すべてを運命の女神にまかせている。(...)
3 悲しい未来。ブルームはまたもう一人の青年――スティーヴン・ディーダラスにも出くわしつづける。ブルームはこれもまた運命のささやかな心遣いではあるまいかと、しだいに悟ってゆく。(ナボコフの文学講義(下)、p.212)