『ディスタンクシオン』
ディスタンクシオン(仏: La distinction : Critique sociale du jugement (区別:社会的判断力批判))は、1979年にピエール・ブルデュー[1]によって手がけられた著書。同年に発行され、1984年に英訳が出版された。著者ブルデュー自身による1963年から1968年にわたる実証研究をもとにした著書であり、フランス文化について社会学的に分析した本である。国際社会学会は1998年にこの『ディスタンクシオン』を20世紀の最も重要な社会学書10冊のうちの1冊に選出した[2]。 著者ブルデューは、相対的な地位の社会的空間内で社会的エージェントを分類した空間は、2つの軸に沿った多次元統計分析から構築され[3] 文化的資本、つまり経済的手段を超えた社会的移動を促進する教育などの非金融的な社会的資産を多く持つ人々が、社会の中で何が嗜好を構成するかを決定することができると指摘している。全体的な資本の量が少ない人々は、この嗜好、および文化の高低の区別を正当かつ自然なものとして受け入れ、それゆえに、様々な形態の資本(経済的、社会的、文化的)間の変換に対する既存の制限を受け入れる。全体的な資本が低い人々は、そのために必要な手段を欠いているため、より大量の文化資本にアクセスすることができない。これは、例えば、彼らの生息地の特徴などから、古典的な芸術作品を説明するための用語や理解する方法を欠いていることを意味しているかもしれない。この点でブルデューは、「労働者階級の人々は対象物が機能を果たすことを期待している」のに対し、経済的必需品から解放された人々は、日常生活から切り離された純粋なまなざしを操作することができると主張している[4] 。 味覚の「支配的な」形態の受容は、ブルデューは「象徴的暴力」の一形態であると主張している。さらに、下位の社会階級が何が良くて何が良くないかについて独自の考えを持っているように見えても、「労働者階級の美学は支配階級の美学であり、支配階級の支配的な美学の観点から自己を定義することを常に余儀なくされている」ということ[5]を指摘した。