1つのできごとを195の異なる方法で記述する
そのうちの3例
Queneau, Raymond (1981) Exercises in Style.
最初に登場する記述
一日の中ごろ、長いという以外にこれといった特徴のない首をした一羽のニワトリが、大きな白い甲羅を持つ甲虫の中を泳いでいるイワシの群れに投げ込まれ、突然、平和を固守すべきだと熱弁をふるい始めた。その湿っぽく不満げな話しぶりは、むなしく上空へと広がっていった。若鶏は空虚感に襲われて、自らそこへ落ちて行った。
同じ日に、寒々とした都会の砂漠の真中で、卑しいボーイが持ってきたコップいっぱいの屈辱を飲みほしている時、私はそのニワトリを再び見かけた。
別の記述
Sバスの車内、ラッシュアワー、二十六歳ぐらいの一人の男、リボンの代わりに紐を巻きつけた帽子、まるで誰かに引っ張られたかのように長すぎる首。人々がバスから降りる。当の男は、隣に立っている一人の男に悩まされている。彼は、誰かがそばを通っていくたびに、自分を押しただろうと言って非難する。攻撃的とも感じられるような、すすり泣くような調子。その男は、空いている席を見つけると、そこに身体を投げ出すように座った。
二時間後、私はサン - ラザール駅前で、彼に再会する。彼は友人と一緒で、その友人は彼に「コートに予備のボタンをつけてもらった方がいい」と話している。友人は、彼がどこにボタンをつけるべき(上着の襟の折り返し部分)か、そして、それがなぜかということを、彼に教えている。
S線のバスの中。長さ十メートル、幅三メートル、高さ六メートル、出発してから三・六キロの地点、四十八人の乗客。十二時十七分、性別男、年齢二十七歳三ヶ月と八日、身長一メートル七十二センチ、体重六十五キロ、周りに六十センチの長さのリボンを巻きつけた高さ三・五センチの帽子をかぶっている一人の人間が、年齢四十八歳四ヶ月と三日、身長一メートル六十八センチ、体重七十七キロの一人の男に説明を求める。十四の単語を用い、発声は五秒間継続、十五ミリから二十ミリの自発的な移動を促す。その後一メートル十センチ離れたところに着席。
五十七分後、彼は、サン - ラザール駅の入り口から十メートル離れたところにいて、二十八歳、身長一メートル七十センチ、体重七十一キロの友人と、三十メートルの距離を歩行。友人は彼に十五の単語で、直径三センチのボタンを五センチ上に移動するように忠告。