物理学を駆け抜ける抽象物理数学問題集
込み入った(実務的な)話をせずに物理の美しい数式だけ眺めていたい人向けの問題集を作りたいSummer498.icon
数理物理学というより、物理数学と呼んだほうが相応しそうな気がしてきた。
物理に根ざしつつあくまで数学というポジション
測定誤差の話とかしたくないし、物理定数嫌いやし……。
数学的下準備が多すぎてビビる
そんなに使ってるんや~って感心する
物理的な問題を作るのが難しい。数学的な思考だと答をすべて書いてしまう。
公理的情報を全て書かねばならんと思うから、気がついたら答えになっている。
長さと時間と重さ
(長さ): 適当な長さの物差しを用意して、物体の長さを測定できる。
古くは王様の足の長さが物差しになったり、地域ごとに物差しが違ったりと、散々な状態であったようだ。
高難度: 長さは基本的な単位だと言えるか?また、何故そう言えるのか?
(面積・体積): 長さが定まると、面積と体積を測定できる。
単位体積を表す入れ物を用意して、立体の中に水を入れて単位体積の入れ物に移し替えることで体積を測定できる。
体積を測定できることを利用すると、単位長さの高さを持ち、測定したい図形と合同な図形を底面に持つ立体を用いて面積も測定できる。
(重さ): 大きな石は重く、小さな石は軽い。同じくらいの大きさでも水よりも石は重い。
寸法が定まった入れ物を用意して液体を入れることで重さを測定できる。
高難度: 重さは基本的な単位だと言えるか?また、何故そう言えるのか?
(質量): 物体に含まれる物体そのものの量を質量と呼ぶ。
重い物体ほど質量が大きく、軽い物体ほど質量が小さい。
高難度: 重さと質量を何故分けるのか?
(時間): 心臓に手を当てよう。一定のリズムで拍動している。これを数えることで簡易的に時間を測れる。
しかし、これでは体調で時間が変わってしまう。これを防ぐために振り子を用いると、客観的に時間を測れる。
ここで、振り子の長さと時間の間に何らかの関係が生じる。
高難度: 時間は基本的な単位だと言えるか?また、何故そう言えるのか?
(余談): それぞれの単位が基本的な単位と呼べるかどうかの議論は高難度どころか哲学的な難問かもしれない。
位置と速度と加速度
(位置): 物の位置は適当な基準点を定めれば、北に$ x_1の長さと、東に$ x_2の長さと、上に$ x_3の長さを進んだ場所にあると指し示せる。これを取りまとめて$ \bm x=\begin{pmatrix}x_1\\x_2\\x_3\end{pmatrix}と書く。
(速度): ある時刻$ tから別の時刻$ t+\Delta tまでの移動量の差分$ \Delta\bm xを時刻の差分で割ったもの$ \frac{\Delta\bm x}{\Delta t}を速度という。$ \Delta t\to 0に近づけた極限を$ \bm v=\frac{{\rm d}\bm x}{{\rm d}t}で表す。
(加速度): 速度と同様の考え方で、速度そのものの時間変化を考えることもできる。これを加速度といい、$ \Delta t\to0に近づけた極限を$ \bm a=\frac{{\rm d}\bm v}{{\rm d}t}で表す。
数学的準備: 作図と数
(長さと実数): 長さと実数を結びつけることができる。
(直線): ある向きに平行移動させた際に変形しない、1本の線で構成された図形を直線という。
(定規): 直線を引く道具を定規という。
(線分): 直線の一部を切り取った端点のある物を線分という。
(円): ある点を中心に回転させても変形しない、1本の線で構成された図形を円という。
(コンパス): 円を描く道具をコンパスという。
問題: (角の二等分線): 角の二等分線を作図せよ
問題: (直角): 直角を作図せよ
(左右): 左右を定めるのは極めて難しい問題になるが、この作図の場では同一直線上に異なる3点を取り、真ん中のものから見た時の片方の点を左側にあるといい、もう片方の側にある点を右側にあるということにする。
(加算): 1直線上に長さ$ aの線分$ Aを引き、その右末端から更に右側に長さ$ bの線分$ Bを引くことで線分$ ABの長さが$ a+bになる。
(減算): 1直線上に長さ$ aの線分$ Aを引き、その右末端から翻って左側に長さ$ bの線分$ Bを引くことで線分$ Aの左末端と線分$ Bの左末端の間の長さが$ a-bになる。
(負の数): 減算の操作で$ Bの左末端が$ Aの左末端よりも左に来る時、長さは$ b-aになるので負符号をつけて表現したい数とする。
(相似): 等しい角度からなる図形(相似な図形)の辺の長さは等倍で伸縮される。
問題: (相似な三角形): 相似な三角形において、対応する辺同士の比を比べよ。
(直角三角形): 1つの角が直角の三角形を直角三角形といい、直角を成す2辺を隣辺、残りの1辺を斜辺という。
(乗算): 隣辺の長さが$ A=a,B=1の直角三角形$ \triangle OABを描き、それと相似な直角三角形$ \triangle OA'B'を$ B'の長さが$ bになるように作図すると$ A'の長さが$ abになる。
(除算): 隣辺の長さが$ A=a,B=1の直角三角形$ \triangle OABを描き、それと相似な直角三角形$ \triangle OA'B'を$ A'の長さが$ bになるように作図すると、$ B'の長さが$ \frac{b}{a}になる。
(自然数): 長さ$ 1の線分から加算のみで構成可能な数を自然数と呼ぶ。$ 0を含める考え方もある。
(整数): 長さ$ 1の線分から加減算のみで構成可能な数を整数と呼ぶ。
(有理数): 長さ$ 1の線分から加減乗除算のみで構成可能な数を有理数と呼ぶ。
(実数): 有理数では表現できないが、直線の(向き付き)長さとして考えることができる数を実数と呼ぶ。
問題: (直角二等辺三角形): 二等辺三角形の辺の長さは全て有理数か?
数学的準備: 三角関数
問題: (ピタゴラスの定理): 直角三角形の斜辺の長さ$ cを隣辺の長さ$ a,bで表せ。(その正当性を図で示せ)
問題: (円): 座標平面上に原点からの距離が 1 の点の集合の図を描け。また、その集合のすべての点が満たす方程式を示せ。
問題: (円周率): 円周の長さと直径の比を円周率と呼び、$ \piで表す。半径$ rの円の円周長を求めよ。
問題: (円の面積): 半径$ rの円の面積を求めよ。(その正当性を図で示せ)
(単位円): 原点$ O(0,0)と、単位円 (原点を中心とする半径1の円) 上の点$ X(1,0)と点$ P(x,y)が形成する扇形から様々な関数が定義される。
(弧度): 単位円上の扇形$ OXPの弧長を$ \thetaとする。これを角度として扱うことで、角度と長さの単位を合わせられる。
問題: (扇形の面積): 半径$ r、角度$ \thetaの扇形の円弧の長さを求めよ。またこの扇形の面積を求めよ。
(三角関数): 単位円上の点$ Pの座標は角度$ \thetaから一意に定まる。これを$ P(\cos\theta,\sin\theta)で表す。また、円と外接する直線$ x=1と直線$ OPの交点を$ T(1,\tan\theta)とする。
(逆三角関数): 三角関数の値から角度$ \thetaを逆に求めることもできる。これを逆三角関数といい、$ \arccos x、$ \arcsin y、$ \arctan aで表す。
問題: (三角関数の公式): 三角関数同士の各種関係を導け。
(cos-sin): $ \cos\thetaと$ \sin\thetaが成す等式を線分$ OPの長さに付いて考察することで求めよ。
(tan): $ \tan\thetaの値を$ \cos\thetaと$ \sin\thetaを用いて表せ。
(tan-cos): $ \tan\thetaの値を$ \cos\thetaを用いて表せ。
問題: (余弦定理): 三角形のある角の大きさを$ \thetaとする。その角の対辺の長さ$ cを隣辺の長さ$ a,bと$ \thetaを用いて表せ。
数学的準備: 微積分
(極限): $ f(x)の$ xを$ cに十分に近づけたときの極限を$ \lim_{x\to c}f(x)と書く。
(無限): 限り無く大きくする(大きくなる)ことを$ \inftyと書き、限りなく小さくする(小さくなる)ことを$ -\inftyと書く。
(厳密な極限): 任意の$ \varepsilon>0に対して、ある$ \delta>0が存在して、$ c-\delta<x<c+\delta\quad\Rightarrow\quad\alpha-\varepsilon<f(x)<\alpha+\varepsilonを満たすことを省略して$ \lim_{x\to c}f(x)=\alphaと書く。
前半の複雑な議論を論理式で$ ^{\forall\varepsilon>0,\exist>0}\lbrack c-\delta<x<c\c+\delta\quad\Rightarrow\quad a-\varepsilon<f(x)<\alpha+\varepsilon\rbrackと書く。
不等号を定義できない場合(例えば複素数関数)は距離関数を用いて議論を行う。
$ ^{\forall\varepsilon>0,\exist\delta>0}\lbrack d(x,c)<\delta\quad\Rightarrow\quad d(f(x),\alpha)<\varepsilon\rbrack
(厳密な無限): 無限大$ +\inftyについては、「任意の$ \delta>0について$ c-\delta<x<c+\delta」の代わりに、「ある$ N\in\Nが存在して任意の$ n>Nが存在する時、$ n<x」のように議論する。
論理式では$ ^{\forall\delta>0}\lbrack c-\delta<x<c+\delta\rbrackの代わりに$ ^{\exist N\in\N,\forall n>N}\lbrack n<x\rbrack書く。
不等号を定義できない場合は無限遠点を用意すると議論が簡便になる。(が、無限遠点そのものに関する位相空間論的議論を要する)
$ ^{\forall\varepsilon>0,\exist\delta>0}\lbrack d(x,\infty)<\delta\quad\Rightarrow\quad d(f(x),\alpha<\varepsilon)\rbrack
問題: $ \lim_{x\to c}f(x)=-\infty、$ \lim_{x\to\infty}f(x)=-\infty、$ \lim_{x\to c}f(x)=\alpha、$ \lim_{x\to\infty}f(x)=\alpha、$ \lim_{x\to c}f(x)=\infty、$ \lim_{x\to\infty}f(x)=\inftyをそれぞれ論理式で書き下せ。
(左極限): $ f(x)の$ x<cを$ cに十分に近づけた時の極限を$ \lim_{x\to c}f(x)と書く。
(物理の数学的な厳密性): 物理学は数学を使用する立場なので毎回数学に関する厳密な議論は必要としない。従って、このような細かい議論は概ね必要ないが、式が上手く動かない時に、そもそも使用する数式が適用条件を満たしているのか疑問を持つタネにはなる。
(連続な関数): 関数$ f(x)の$ x\to cの左右極限と代入値$ f(c)が一致する時、関数$ fは$ x=cで連続であると言う。
$ f(c)=\lim_{x\to c-0}f(x)=\lim_{x\to c+0}f(x)
以降は断りがない限り定義域全域で連続な関数について考える。
高難度: (物理と連続): 物質は分子や原子で構成され、更にそれらは素粒子で構成されるようだ。ミクロな世界では物理量はある値の底数倍しか取らない(量子的)なこともありうる。それでも物理学で連続な関数を用いるのは何故か?
問題: 多項式関数、分数関数、指数関数、三角関数、対数関数について連続性を調べよ。
(定積分): 曲線$ y=f(x)と$ x軸、直線$ x=a,\ x=bで囲まれた図形の面積$ \int_a^bf(x){\rm d}xを求める。
区間$ \lbrack a,b\rbrackを細かく切り分けて$ \lbrack a=x_0,x_1\rbrack,\lbrack x_1,x_2\rbrack,\cdots\lbrack x_{n-1},x_n=b\rbrackとする。
区間$ L_k=\lbrack x_{k-1},x_k\rbrackにおいて、区間の長さを$ \Delta x_k=x_k-x_{x-1}とする。
また、$ f(x)の最小値$ \min_{x\in L} f(x)と最大値$ \max_{x\in L}f(x)を考える。
小さな長方形の総和$ \sum_{k=1}^n\min_{x\in L}f(x)\Delta x_kと大きな長方形の総和$ \sum_{k=1}^n\max_{x\in L}f(x)\Delta x_kが共通の値$ Sに収束するとき、この図形の面積は$ Sとなる。
$ f(x)<0の部分が多い場合、$ S<0となる。
問題: (面積) $ f(x)>g(x)とする。曲線$ y=f(x)と曲線$ y=g(x)、直線$ x=a,\ x=bで囲まれた図形の面積を求めよ。
(不定積分): 曲線$ y=f(x)と$ x軸、直線$ x=x_0,$ x=\chiで囲まれた図形の面積を$ \int_{x_0}^\chi f(x){\rm d}x=F(\chi)+Cで表すことにすると、色々な区間の面積を簡便な形で議論できて便利になる。
$ Cは$ x_0の取り方によって変わる。
これを単に$ \int f(x){\rm d}xで表す。
問題: (積分の線形性): $ \int af(x)+g(x){\rm d}xを求めよ。
問題: (区間積分): 曲線$ y=f(x)と$ x軸、直線$ x=a,\ x=bで囲まれた図形の面積を$ Fを用いて表せ。
高難度: (積の積分): 曲線$ y=f(x)g(x)と$ x軸、直線$ x=x_0,\ x=\chiで囲まれた図形の面積を求めよ。
ここではまだ微分を紹介していないため高難度となる。
問題: (微分): $ \int f'(x){\rm d}x=f(x)+Cを満たす$ f'(x)を$ f(x)に関する極限を用いて表せ。
(微分): $ f'(x)を$ \frac{\rm d}{{\rm d}x}f(x)と書くことがある。
問題: (関数の接線): 関数$ f(x)上の点$ P(c,f(c))と、その近傍点$ P_\delta(c+\delta,f(c+\delta))が成す直線の方程式を求め、$ \delta\to 0の時の極限を求めよ。
(滑らかな関数): 関数$ fの$ x=c近傍での微分の左右極限が一致する時、関数$ fは$ x=c微分可能であるといい、微分値をその両側極限で定める。
$ f'(c)=\lim_{\delta\to+0}\frac1\delta\left(f(c+\delta)-f(c)\right)=\lim_{\delta\to-0}\frac1\delta\left(f(c+\delta)-f(c)\right)
(アンペールの主張): 電流の単位アンペアの元になったアンペールは、連続な関数はいくつかの(有限個)の点を除いて微分可能であると考えた。
問題: 適当な関数を構成することでアンペールの主張の真偽を確認せよ。
(一言): アンペールの主張は長らく真と考えられてきているので、反例を挙げるのが難しいことを確認せよ。
問題: (H. Hankel の関数): $ f(x)=\sum_{n=1}^\infty\frac1{n^3}\sin(\pi nx)はどの範囲で連続か?またどの範囲で微分可能か?
問題: (ワイエルシュトラス関数): 以下の関数はどの範囲で連続か?またどの範囲で微分可能か?
$ 0<a<1, k\in\Z,a(2k+1)>1+\frac32\piとするとき、
$ f(x)=\sum_{n=0}^\infty a^n\cos((2k+1)^n\pi x)
(雑談): このような議論を経て今日の厳密な$ \varepsilon\text-\deltaによる議論が行われるに至っている。
(雑談): 物理に関連する話では、ブラウン運動が至るところ微分不可能な関数でモデル化される。
高難度: 物理学では、アンペールが主張するように有限個の点を除いて連続な関数は微分可能だと考えるほうが妥当だろうか?また、それは何故か?
問題: (微分の線形性): $ kf(x)+g(x)の$ xによる微分を求めよ。
問題: (関数の積の微分): $ f(x)g(x)の$ xによる微分を求めよ。
問題: (合成関数の微分): $ f(x(t))の$ tによる微分を求めよ。
問題: (逆関数の微分): $ f^{-1}(x)の$ xによる微分を求めよ。
問題: (関数の積の積分): $ f(x)g(x)の$ xによる積分を求めよ。
問題: (関数の積の積分): $ f(x(t))x'(t)の$ tによる積分を求めよ。
問題: (別の変数での微積分): 関数$ x(t)を$ tで微分した物を$ tで微分し、最後に$ xで積分せよ。
問題: (初等関数の微分): 関数$ y=x^k\ (k\in\R)、指数関数、対数関数、三角関数の微分を求めよ。
問題: (初等関数の積分): 関数$ y=x^k\ (k\in\R)、指数関数、対数関数、三角関数の積分を求めよ。
$ k=-1の場合に注意せよ。
数学的準備: ベクトル
(マグマ): 二項演算$ *:M\times M\to Mを備えた代数構造$ (M,*)をあるいは単に$ Mをマグマと呼ぶ。
(閉性): $ *:M\times M\to M
問題: (マグマ?): 大小演算子$ <はマグマか?(閉性を持つか?)
(可換-): 可換律を満たすマグマ$ (M,+)を可換マグマと呼ぶ。その他代数構造が可換構造を保つ場合はマグマの部分をその代数構造で呼ぶ。
(可換律): $ ^{\forall a,b\in M}a+ b=b+ a
問題: (可換?マグマ?): 等号演算子$ =が閉性と可換律を持つか調べよ。
問題: (可換?マグマ?): 冪乗を演算子$ a**b=a^bで表す時、$ **が閉性と可換律を持つか調べよ。
(半群): 結合律を満たすマグマ$ Gを半群と呼ぶ。
(結合律): $ ^{\forall a,b,c\in G}a\circ (b\circ c)=(a\circ b)\circ c=a\circ b\circ c
問題: (可換半群): 可換半群が持つ性質を全てあげよ
問題: (自然数): 自然数とその加算$ (\N,+)は可換半群か?また、自然数とその乗算$ (\N,\cdot)はどうか?
(モノイド): 単位元を持つ半群$ Mをモノイドと呼ぶ。
(単位元): $ ^{\forall a}a\circ 1=aを満たす元$ 1\in Mが存在する。
可換モノイド$ (M',+)の単位元は$ 0\in M'で表す。
問題: (モノイド): モノイドが持つ性質を全てあげよ。
問題: (掛け算): 自然数とその乗算$ (\N,\cdot)は可換モノイドか?
(群): 逆元を持つモノイド$ (G,\cdot)を群と呼ぶ。
(逆元): $ ^{\forall a}a\cdot a^{-1}=1を満たす元$ a^{-1}\in Gが存在する。
可換群$ (G',+)の逆元は$ -a\in G'で表す。
問題: (群): 群が持つ性質を全てあげよ。
問題: (数): $ (\Z,+)、$ (\Z,\cdot)、$ (\mathbb Q,+)、$ (\mathbb Q,\cdot)はそれぞれ可換群か?
(環): 可換群$ (R,+)とモノイド$ (R,\cdot)の間に分配律が成立する時、代数構造$ (R, \cdot,+)をあるいは単に$ Rを環と呼ぶ。
$ a\cdot b=abと略して書く。
(左分配律): $ ^{\forall a,b,k\in R}k(a+b)=ka+kb
(右分配律): $ ^{\forall a,b,k\in R}(a+b) k=ak+bk
左分配律と右分配律を合わせて分配律と呼ぶ。
問題: (環): 環のもつ性質を全てあげよ。
問題: (数): $ (\Z,\cdot,+)、$ (\mathbb Q,\cdot,+)はそれぞれ可換環か?
(体): 可換群$ (k,+)と群$ (K,\cdot)の間に分配律が成立する時、代数構造$ (K,\cdot,+)をあるいは単に$ Kを群と呼ぶ。
問題: (体): 体のもつ性質を全てあげよ。
問題: (数): $ (\Z,\cdot,+)、$ (\mathbb Q,\cdot,+)はそれぞれ可換体か?
問題: (環と体): 環にどの規則を加えると体になるか?
(ベクトル): 体$ (K,\cdot)と可換半群$ (V,+)の間に分配律と結合律が成立する時、スカラー倍$ \cdot: K\times V\to Vを導入し、代数構造$ (V,K,\cdot)をベクトルと呼ぶ。
(結合律): $ ^{\forall a,b\in K,\forall\bm x\in V}a(b\bm x)=(ab)\bm x=ab\bm x
(和に対するスカラー倍の分配律): $ ^{\forall k,\forall\bm x,\bm y\in V}k(\bm x+\bm y)=k\bm x+k\bm y
(スカラー倍に対する和の分配律): $ ^{\forall a,b,\forall\bm x,\bm y\in V}(a+b)\bm x=a\bm x+a\bm y
体の代わりに可換体を用いてベクトルを構成する場合は、右スカラー倍$ \cdot:V\times K\to Vと可換律も追加すると計算が楽になる。
(可換律)$ ^{\forall k\in K,\forall\bm x\in V}k\bm x=\bm xk
問題: (線形性): ベクトルの線形性を示せ。
(線形性): $ k\bm x+\bm y\in V
(豆知識): 一般に、何らかの代数構造がベクトルであるかどうか調べる際には線形性を調べることで満足することが多い。
問題: (数列): n個の実数をまとめたもの$ \bm x=\begin{pmatrix}x_1\\\vdots\\x_n\end{pmatrix}について、以下の計算を定義したものはベクトルか?
(各成分の和): $ \bm x+\bm y=\begin{pmatrix}x_1+y_1\\\vdots\\x_n+y_n\end{pmatrix}
(各成分の積): $ k\bm x=\begin{pmatrix}kx_1\\\vdots\\kx_n\end{pmatrix}
問題: (矢印): 以下の計算を定義した矢印はベクトルか?
(接続): 矢印$ \bm xを平行移動させた矢印$ \hat{\bm x}の終点と、矢印$ \bm yを平行移動させた矢印$ \hat{\bm y}の始点を結合した時、$ \hat{\bm x}の始点と$ \hat{\bm y}の終点を繋いだものを$ \bm x+\bm yとする。
(伸縮): 矢印$ \bm xの長さを$ k倍したものを$ k\bm xとする。
数学的準備: 内積
(距離): 集合$ Sの要素に実数を割り当てる関数$ \mu:S\times S\to\Rが以下の式を満たす時、数学的な意味で距離と呼ぶ。
任意の$ \bm a,\bm b,\bm c\in Sについて
(非退化性): $ \mu(\bm a,\bm b)\ge0,\quad\mu(\bm a,\bm b)=0\Leftrightarrow\bm a=\bm b
(対称性): $ \mu(\bm a,\bm b)=\mu(\bm a,\bm b)
(三角不等式): $ \mu(\bm a,\bm b)+\mu(\bm b,\bm c)\ge\mu(\bm a,\bm c)
問題: (距離): 適当な三角形を描いて素朴な意味での距離が数学的な意味での距離を成すことを確認せよ。
(豆知識): 距離関数が定義されることで、極限の議論ができる。
(ノルム): ベクトル$ Vの要素に実数を割り当てる関数$ \|\bull\|:V\to\Rが以下の式を満たす時、ノルムと呼ぶ。
任意の$ \bm x,\bm y\in Vについて
(独立性): $ \|\bm x\|=0\Leftrightarrow\bm x=\bm 0
(斉次性): $ \|k\bm x\|=|k|\|\bm x\|
(劣加法性): $ \|\bm x\|+\|\bm y\|\ge\|\bm x+\bm y\|
劣加法性の式は三角不等式とも呼ばれる。
問題: 平面上に適当な三角形を描き、劣加法性の成立を確認せよ。
問題: ベクトル$ \bm x,\bm yの差のノルム$ \|\bm a-\bm b\|は距離を成すか?
問題: (座標空間上のノルム1): 二次元平面において、原点$ O=(0,0)と点$ A=(a_1,a_2)の間の距離$ |OA|を求めよ。(その式の正当性を図で示せ)
問題: (座標空間上のノルム2): 三次元空間において、原点$ O=(0,0,0)と点$ A=(a_1,a_2,a_3)の間の距離$ |OA|を求めよ。(その式の正当性を図で示せ)
問題: (座標空間上のノルム3): n次元空間において、原点$ O=(0,\cdots,0)と点$ A=(a_1,\cdots,a_n)の間の距離$ |OA|を求めよ。(その式の正当性を証明せよ)
問題: (座標空間上の距離): 2点$ A=(a_1,\cdots,a_n),\ B=(b_1,\cdots,b_n)の間の距離$ |AB|を求めよ。(その式の正当性を証明せよ)
問題: (垂線の足): 原点$ Oと点$ A=(a_1,a_2,a_3)が成す直線に対して点$ B=(b_1,b_2,b_3)から引いた垂線の足$ Hは直線$ OB上にあるため、$ H=hB=(hb_1,hb_2,hb_3)のように書ける。$ hの値を求めよ。
問題: (垂線の足までの距離): $ |OH|を求めよ。
問題: (垂線の足): 原点$ Oと点$ A=(a_1,\cdots,a_n)が成す直線に対して点$ B=(b_1,\cdots,b_n)から引いた垂線の足$ Hは直線$ OB上にあるため、$ H=hB=(hb_1,\cdots,hb_n)のように書ける。$ hの値を求めよ。
問題: (垂線の足までの距離): $ |OH|を求めよ。
(座標空間上の余弦): 原点$ Oから 2 点$ A,Bに引いた2本の線分の成す角$ \thetaについて、垂線の足までの距離が$ |OH|=|OA|\cos\thetaを成すことを図を描いて確認せよ。また、n次元空間において$ \cos\thetaを$ A,Bの座標を用いて表せ。
問題: $ |OA||OB|\cos\thetaを求めよ。
問題: (座標空間上の余弦定理) n次元空間において、余弦定理を用いて2点$ A,B間の距離$ |AB|を求めよ。
(内積): 実ベクトル空間$ \R^nの2要素に実数を割り当てる関数$ \lang\bull,\bull\rang:\R^n\times\R^n\to\Rが、以下の式を満たす時、内積と呼ぶ。
(双線形性1): $ \lang k\bm a+\bm b,\bm x\rang=k\lang\bm a,\bm x\rang+\lang\bm b,\bm x\rang
(双線形性2): $ \lang \bm x,k\bm a+\bm b\rang=k\lang\bm x,\bm a\rang+\lang\bm x,\bm b\rang
(対称性): $ \lang\bm a,\bm b\rang=\lang\bm b,\bm a\rang
(非退化性): $ \lang\bm x,\bm x\rang=0\quad\Rightarrow\quad\bm x=0
(半正定値性): $ \lang\bm x,\bm x\rang\ge0
問題: (内積): ベクトル$ OAとベクトル$ OBに対して$ \cos\thetaを$ OA,OBの成す角とすると、$ |OA||OB|\cos\thetaは内積の性質をみたすか?
問題: (内積とノルム): 自分自身との内積の平方根$ \sqrt{\lang\bm x,\bm x\rang}はノルムの性質を満たすか?
問題: (内積0): 2つのベクトル$ \bm a,\bm bの内積が0になる図形的条件を求めよ。
(正規直交基底): 基底$ B=\{\bm e_1,\cdots,\bm e_n\}が以下の性質を満たす時、正規直交基底と呼び、計算しやすい良い性質を持つ。
任意の$ i, j,\ kに対して、
(正規性): $ |\bm e_k|=1
(直交性): $ i\ne j\quad\Leftrightarrow\quad\lang\bm e_i,\bm e_j\rang=0
問題: (係数抽出): 正規直交基底の線形和で表されるベクトル$ \bm x=\sum_{k=1}^n x_k\bm e_kと基底との内積$ \lang\bm e_k,\bm x\rangを求めよ。
問題: (歪んだ基底): 正規直交ではない基底の線形和で表されるベクトル$ \bm x=\sum_{k=1}^n x_k\bm e_kと基底との内積$ \lang\bm e_k,\bm x\rangを求めよ。
数学的準備: 外積
問題: (平行四辺形の面積): 平行四辺形の底辺の長さ$ sと同じ大きさで底辺と垂直なベクトルを$ \bm s、斜辺を表すベクトルを$ \bm aとする。平行四辺形の長さを求めよ。
問題: (平行六面体の体積): 平行六面体の底面積$ sと同じ大きさで底面と垂直なベクトルを$ \bm s、斜辺を表すベクトルを$ \bm aとする。平行六面体の面積を求めよ。
問題: (平行多面体の体積): 平行四辺形の面積や平行六面体の体積$ Vについて、ある辺を表すベクトル$ \bm aに対して線形性が成り立つか?
(線形性): $ V(k\bm a+\bm b)\overset?=kV(\bm a)+V(\bm b)
(なお、変形により図形が重なる場合は重なった部分の面積/体積をそのまま足すものとする)
(面積・体積): 面積や体積(より一般の超体積)について、以下の性質を要請する。
(多重線形性): $ V(\bm x_1,\cdots,{\color{red}k\bm a+\bm b},\cdots,\bm x_n)={\color{red}k}V(\bm x_1,\cdots,{\color{red}\bm a},\cdots,\bm x_n)+V(\bm x_1,\cdots,{\color{red}\bm b},\cdots,\bm x_n)
(正規直交基底): $ V(\bm e_1,\cdots,\bm e_n)=1
(外積): 底辺ベクトルや底面積ベクトル(より一般の(超)底体積ベクトル)について、以下の性質を要請する
(その平面を構成していない残りの1辺と内積を取ると体積になる):
$ \lang \bm s,\bm a\rang=V
数学的準備: ユークリッド空間
(ユークリッド空間): 2つのベクトルの内積が$ \lang\bm x,\bm y\rang=\bm x\cdot\bm y=\sum_{k=1}^n\bm x^k\bm y^kになる空間をユークリッド空間と言う。
内積と外積の計算が最も簡単な空間だ。
定規で直角と長さを測って位置を定めるような空間だ。
問題: (正規直交基底): ベクトル$ \bm e_iの成分を$ \lbrack e_{i,j}\rbrack=\left\{\begin{matrix}1&(j=i)\\0&(j\ne i)\end{matrix}\right.で定める。内積$ \bm e_i\cdot\bm e_jを求めよ。
問題: (外積:二次元の場合): 平行四辺形の平行ではない辺をベクトル$ \bm a,\bm bで表す。
(図示): 方眼紙上に適当に平行四辺形を描け。
(外積): $ \bm a\times\bm b=a_1b_2-a_2b_1を計算せよ。
(面積): 底辺長と高さの積として面積を測定せよ。
問題: (外積:三次元の場合): 平行六面体の平行ではない辺をベクトル$ \bm a,\bm b,\bm cで表す。
(平行四辺形の角): 平行四辺形$ \bm a,\bm bについて、内積$ \lang\bm a,\bm b\rangから角$ \cos\theta=\frac{\bm a\cdot\bm b}{\|\bm a\|\|\bm b\|}を求めよ。
(平行四辺形の面積): 平行四辺形$ \bm a,\bm bについて、面積$ \|\bm a\|\|\bm b\|\sin\thetaを求めよ。
(外積): $ \bm a\times\bm b=\begin{pmatrix}b_1c_2-b_1c_2\\c_1a_2-a_1c_2\\a_1b_2-b_1a_2\end{pmatrix}を求めよ。
(外積の大きさ): 外積の大きさ$ \|\bm a\times\bm b\|を求めよ。
(外積の角度): 内積$ \lang\bm a,\bm a\times\bm b\rangと$ \lang\bm b,\bm a\times\bm b\rangを求めよ。
質点の運動
(質点): 大きさが無視できる点を質点という。質点を考えることで回転運動を無視して位置の運動に集中できる。
(バネで弾く): バネを最小限短くして、その前に重さが$ m_1の物体を置き、バネをぶつけると、速度$ \bm v_1で運動する。
次に、バネを最小限短くして、その前に重さが$ m_2の物体を置き、バネをぶつけると、速度$ \bm v_2で運動する。
この時に、物体の重さと速度について、$ m_1\bm v_1=m_2\bm v_2が成立する。
(物体をぶつける): バネを最小限短くして、その前に重さが$ m_1の物体を置き、バネをぶつけて、速度$ \bm v_1で運動させる。
その物体を、重さが$ m_2の物体を置き、物体同士を衝突させると物体の速度はそれぞれ$ \bm v_1',\bm v_2'になる。
この時に、物体の重さと速度について、$ m\bm v_1=m_1\bm v_1'+m_2\bm v_2'が成立する。
(運動量): 物の質量を$ m、速度を$ \bm vとした時に、運動量を$ \bm p=m\bm vとする。
(運動量保存則): 衝突の前後で運動量の総和は保存される。$ \sum_{k=1}^n\bm p_k=\sum_{k=1}^n\bm p_k'
(物を投げる): 物を斜め上向きに投げると、放物線を描く。これは、物に下向きに等しい加速度が常に係っていると考えることで説明がつく。
問題: (等加速度運動): 斜め上向きに$ \bm v_0の速度で投げた物体が下向きに$ \bm aの加速度を受け続ける時の運動をプロットせよ。
問題: (加速度を与える力): 運動量を時間で微分することで物体に加速度を与える力$ F=\frac{{\rm d}\bm p}{{\rm d}t}を計算できる。$ Fを加速度$ \bm aで表せ
(重さと質量): 物体は下向きに力(重力)で引かれている。これが普段重さとして感じているものだ。重さを$ F=m\bm gで表す。
(重さの単位): 重さは質量と長さの積を時間の平方で割ったものである。
問題: (力を加えても動かない): 重力を受け続けているにも関わらず、床の上の物体が静止しているのは何故か?
問題: (力を加えても動かない): 紐で吊るした物体が重力を受け続けているにも関わらず、物体が静止しているのは何故か?
(釣り合いの力): 既知の力を受け続けているにも関わらず、期待通りの運動をしない時、期待される運動と実際の運動の差から未知の力の存在を疑うことができる。
(垂直抗力): 硬い表面に物体を押さえつけた時に、物体は垂直抗力を受けていると考えられる。
(張力): 紐で吊るした物体は、紐から引っ張る力を受けていると考えられる。
(仕事): 力をかけ続けることで、物体が他の物体を動かす。これを仕事と呼ぶ。
(1次元上の仕事): 力$ Fで距離$ x物体を動かした時の仕事は$ E=\int F{\rm d}xとなる。
問題: (垂直な仕事): 床の上においた物体を真上から下向きに押しても物体は動かずに、押している人は無駄に疲れる。
この時にこの押している人が物体にした仕事はいくらだと言えるか。
問題: (水平な仕事): 滑らかな床の上においた物体を真横から横向きに押すと物体は最もよく動く。
この時にこの押している人が物体にした仕事はいくらだと言えるか。
問題: (傾いた仕事): 滑らかな床の上においた物体を斜め上から押すと物体は少し効率が悪いものの、動く。
この時にこの押している人が物体にした仕事はいくらだと言えるか。
(仕事): 仕事は$ W=\int\bm F\cdot{\rm d}\bm xにより求める。
問題: このまま計算するのは難しいが、力と位置が時間に依存した関数であることを考えれば1変数の積分に直すことができる。$ W=\int\bull{\rm d}tの$ \bullを求めよ。
(エネルギー): 実際になされた仕事ではなく、仮想的に最も効率よく仕事をした時の仕事の量をエネルギーと呼ぶ。
問題: (力と変位): 最も効率よく仕事をする時、力と$ \bm F位置の変化$ {\rm d}\bm xの向きはどのようになるか?
問題: (運動エネルギー): 力$ \bm Fと位置の変化$ {\rm d}\bm xの向きに気をつけつつ、$ Eを求め、$ \bm vで表せ。
(ポテンシャル・エネルギー): 高いところにある物体は「高いところにある」ということ自体が仕事をする能力の源(ポテンシャル・エネルギー)になっている。
問題: (ポテンシャル・エネルギー): 運動エネルギーの式を変形して重力加速度が加わる中でのポテンシャル・エネルギーを求めよ。
質点の角運動
(地球の重力): 地球は概ね丸い(厳密には少し極方向が短い楕円)。地球の各地点で働く重力を図示せよ。
(豆知識): 三角測量法を行い、平面三角測量法と球面三角測量法の誤差を調べることで、地球が丸いことを確認し、地球の丸みを測定できる。
(高速で物を投げる): 極めて速く地面に対して水平に物を投げるとどうなると考えられるか?
(極座標系): ある一点を中心に物体が公転する運動を扱う時、極座標系を用いると扱いやすくなる。
極座標系には$ \begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=r\begin{pmatrix}\cos\theta\\\sin\theta\end{pmatrix}により変形する。
問題: $ rと$ \thetaを求めよ。
問題: 変数変換の際に微小量$ {\rm d}x,{\rm d}yがどのように$ {\rm d}r,{\rm d}\thetaに写るか?
(ケプラーの運動法則): ケプラーが惑星の膨大な観測記録を次のような3法則にまとめた。
(1.楕円運動の法則): 惑星は太陽を焦点とする楕円軌道を動く。
これを極座標系で表すと、$ r=\frac{p}{1+\varepsilon\cos\theta}になる。
ただし、ただし主星の位置を$ O楕円軌道上で惑星が最も主星(片方の焦点)に近づく位置を最近点$ X、$ Oを通り$ OXと垂直な直線の交点を$ H、惑星の位置を$ Pで表す時、
$ r=|OP|、$ \theta=\angle XOP、$ p=|OH|になる。また、$ \varepsilonは離心率である。
(2.面積速度一定の法則): 単位時間あたりに公転軌道が形成する楕円弧の面積は一定である。
(3.調和の法則): 惑星の公転周期の2乗は、軌道長半径の3乗に比例する。
$ a^3\sim T^2