おちょけるの「け」はどこから来たんだろうか
おちょけるの「け」はどこから来たんだろうかseibe.icon おちょける=ボケる(自分がからかわれるツッコまれる状況を作る)、的な意味で使いたくて
だけど「おちょける」は辞書に載っていない
この「け」はどこから来たんだろうか
おちょくる自体は関西方言と解されていたらしいcFQ2f7LRuLYP.icon
一例: 寿岳文章, 寿岳しづ 著『樫と菩提樹』,白凰社,1966. 国立国会図書館デジタルコレクション (参照 2024-05-23) 要デジタルコレクションログイン
ciniiで「おちょくる」を検索したら「寿岳しづ」氏の「おちょくる」という文章が『言語生活』(1965年6月号)に出るのがわかった 確認はしていないが、ひょっとしたら同じ文章かもしれない
おちょけるで国立国会図書館デジタルコレクションを探してみると、最も古い文献に『大阪弁の研究』があった
前田勇 著『大阪弁の研究』,朝日新聞社,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション (参照 2024-05-23) 同じく要ログイン
ここでは「動詞考」として、当時の大阪弁の動詞について気づく点をいくつか述べている
その中で「おちょくる・おちょける」は第五「難解動詞」に分類されている
東京側なら「ふざける」の一語が、大阪弁では時に「いちびる」であり、時に「ほたえる」であり、二者決して混同することがない。しかし「いちびる」とは、一体どう云ふ意味の語なのか、大阪人自らの中にさへその語義ー語学的な説明をつけ得る者がない。 「おちょくる・おちょける」「せちがふ」など、人事現象の表現にそれが多い。… p.321(コマ番号166)
また、語尾が「ける」に変化することについて、「新生下一段動詞」という考えを紹介している
第五は新生下一段動詞とでも云ふべきか、或る動作が自然発生的におこる時、既存の語を新に下一段活用動詞に変へるのである。 八→ハチケル(破裂)
はしやぐ(乾燥)→ハシャゲル
くじる→グゼル
ちょくる→チョケル
せく→せケル
これは四段動詞に自発の助動詞「れる」が附くと、みんな下一段になる者だからそれへの類推なのであらう。
p321、322(コマ番号166、167)
この、下一段化すると自発の意が入るように感じられるのわかるseibe.icon
著者である前田勇氏は後年に『上方語源辞典』(1965)を編しており、その中にも「おちょくる」「おちょける」が立項されている(説明も異なるので注目したい)
前田勇 編『上方語源辞典』,東京堂出版,1965. 国立国会図書館デジタルコレクション (参照 2024-05-23) おちょけるは近世上方語の「チョウケル」の短呼「チョケル」に「お」を冠した語で、「嘲(ちょう)ける」の意。転じておどける、ふざけるになったとの釈
(歴史的かなづかい未詳、「ちゃうける」また「てうける」とも)
ふざける。戯れる。
*続無名抄〔1680〕下「世話字尽〈略〉嘲戯 チャウケル」
*浄瑠璃・大内裏大友真鳥〔1725〕五「察するに亀山が忰国石な〈略〉是へ来い菓子取らせん、とちゃうける」
*浄瑠璃・生写朝顔話〔1832〕浜松の段「ぼろその下った乱れせうより、売られて絹のべべ著いと、てうける詞聞きかねて」
おちょくるの方は上の「オチョケル」を他動詞に変えた語か、と推測していて、『小野ばかむら譃字尽』の用例「言+上下」の例を挙げている この例がまだ見つけられてないcFQ2f7LRuLYP.icon
おちょくる→おちょける説も、おちょける→おちょくる説もあるのか…