【ローマ・ノン・フイト・ウナ・ディエ】
「ドーモ。スパルタカス=サン。ニンジャスレイヤーです」赤黒装束のニンジャは目の前の相手にオジギをした。その者も同様にニンジャだ。「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。スパルタカスです」オジギを返す。白黒ファイアパターン装束と真鍮のメンポ、鎖の防具が醸し出す強者のアトモスフィア。
二者のオジギは極めてゆっくりとしていた。無限めいて敷き詰められたタタミ空間に、彼らのオジギが生み出した空気の流れが静かに波紋を広げ、散っていった。それはいわば、儀式であった。日本において、礼儀作法に則らない者はムラハチ、セプクとなる。数千年にかけてそうした淘汰が行われて来た。
ニンジャスレイヤーとスパルタカスはこれから何を始めようというのか。言うまでもない。殺し合いだ。殺し合う相手同士であるが……否、殺し合う相手同士であればこそ、礼儀作法は絶対だ。いわば一期一会。これこそが奥ゆかしさなのだ。なによりこの戦いは極めて厳粛にブックされた決闘であった。