体液調節まとめ
浸透圧は細胞内も細胞外も共通であるから,浸透圧を変えるためには腎臓の濃縮機能に頼らなければならない.その濃縮機能の肝はバソプレシン(ADH,抗利尿ホルモン)で司る水チャネルである.腎臓は唯一,浸透圧は身体中で一定のルールを破る場所である.これは,対向流システムや水チャネルなしに水が通過しにくいという特性により実現している.
一方で,血管容量(細胞外容量)を調節するにはどうすれば良いか.浸透圧よりももっと簡単に調節できる.水なんて飲まなくたってできる.それは細胞内容量を減らして細胞外に当てれば良いのだ.それをするためには,細胞外の浸透圧を司るNaを増やして,Kを減らせば良いのだ.(イオンの種類を変えているだけであるから,浸透圧は変化しない).この働きはアルドステロンの作用によって腎のチャネルによって行われる.血中から取り除かれたKは体中の個々の細胞のポンプによって細胞外に排出される.イオンと水の比率は浸透圧一定の原則によって保たれるから,イオンが多い細胞外液に多く水が配分されることとなる.このように,腎臓でイオンをやりくりすることで,細胞外液を介して,細胞内液を外に呼び出すことができてしまうのである.
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