所有格が現れにくい日本語
たとえば、「彼は進むべき道を見失った」的なことを英語で言うと、he lost his way.(*あってるかはわからんよ)みたいな表現になる。
単に道だけならば、a wayだけども、彼が進む道、みたいなニュアンスだと his wayとなるだろう。
この表現だけで、一般性が剥奪されていることがわかる。
しかし日本だと、わざわざ「彼は彼の道を見失った」とは言わない。「彼は自分の道を見失った」とはギリギリ言うかもしれないが、むしろその表現は上のニュアンスを十分に理解している人によるものだろう。だいたいは「道を見失った」というような所有格を持たない表現となるし、それで意味は通じる。
こういう日本語的表現の特徴は、一般のものと個人のものをうっかり混同して扱ってしまう概念操作の誤りをリードしてしまうのではないか。
たとえば、「タスク管理」として抽象化・一般化できる部分と、「hogehoge's タスク管理」として個人のものとして扱われるのが好ましい部分とが混ざってしまう(分けよう、という発想になりにくい)