〜術と〜法の語感の違い
たとえば、「倉下式タスク管理術」と「倉下流タスク管理法」という言葉があるとして、それぞれの語感の違いはどのようなものだろうか。
nora.iconの認識はこんな感じです。
大辞泉を引くと
「術」には「人が身につける特別の技。技術。」という意味がある(一番目)
「法」には「物事をする定まったやり方。正しいしかた・方法。」という意味がある(一の四番目)
そこから感じられるニュアンス
「~術」は「これを成すためにはこれを実践せよ」のニュアンス
なんとなくガツガツしているというか、目が血走っているというか
欲望がないと成し遂げられなさそう
「錬金術」は「錬金法」という呼称にはなり得ない感じがします
しかし、現代のテクニック(あるいはゲーム内の裏技)として「こうすればこうお金が生まれます」という方法を指す場合は「錬金法」の方が合っている気がします
「~法」は「こうすればこれができます」のニュアンス
誰がどういう気持ちでやったとしても、AすればBになるという結果が保証されているイメージ
ゲームの「攻略法」を「攻略術」と言うことはあまりなさそう
「タスク管理術」か「タスク管理法」か
「~流」と呼応するのは「~術」のイメージ?
「管理術」と呼ぶほど個人の意欲に依存するものだろうか
「~式」と呼応するのは「~法」のイメージ?
しかし「管理法」と呼べるほど淡々と成せるものでもない気がしなくもない
「タスク管理」というものが「どちらとも言えない」の要因になっていそう
もし「会社のファイルの管理テクニック」なら「管理法」が合っている気がする
個人の内面に関わることを「~法」と言ってしまえるかどうか
rashita.icon上の整理を受けると、「倉下流タスク管理法」はなんとなく「いやん」な感じがしますね。流は術で受けるのが良さそう。
倉下流タスク管理術
となると、式は法かというと
倉下式タスク管理法
これはこれで良さそうな気持ちもある。
「倉下」という生態系の中で、つまり倉下がさまざまな気持ちを持ったとしても、Bを目指せる状態になっている、というニュアンス。
それを引くならば、「ポモドーロ・テクニック」のようにある狭い分野にだけ「効く」ノウハウを指してこの言葉を当てるのはちょっと違っていて、おおむねいくつかのメソッドの組み合わせで、全方位なものを倉下式タスク管理法と呼ぶのが良さそう。
issac.icon術と法でどう違うのか
例示をしてみるとどうだろうか
「戦術」と「戦法」
issac.iconの感覚では両者の違いが分からず。
「戦法」⇔「戦略」の対比関係はなさそうだ
「戦術核兵器」はあるけれど「戦法核兵器」とは言わない
辞書を引く
日本国語大辞典を引いてみても互いに「戦法」「戦術」とあって判然としない
世界大百科事典「戦法」の項目を見ると、戦法の語が古くからあったこと、旧日本軍の軍用語としては海軍で多用され、西洋兵学の流入でstrategy, tacticsの訳語としてそれぞれ「戦略」「戦術」が用語として定着したとある
旧日本海軍では,〈敵と離隔して我が兵力を運用する兵術〉を〈戦略〉,〈敵と接触して兵力を運用する兵術〉を〈戦術〉とし,戦術の実施,すなわち戦闘およびその前後において指揮官がとろうとする企図,方策を特に〈戦策〉と称し,〈戦術を実施する制規の方法〉を〈戦法〉と称した(海軍大学校《兵語界説》1907)
接触して兵力を運用する兵術=戦術、戦術を実施する制規の方法を戦法と称する
「拳術」と「拳法」
拳術は拳を用いて突いたり打ったりすること
足を使って行うことを「蹶 (けつ) 術」というらしい
拳法は「拳術」や「蹶 (けつ) 術」などの格技を総合した体術をいうらしい(ニッポニカ)
術よりも法の方が指す範囲が広い?
「催眠術」と「催眠法」
前者は言葉や動作で暗示をかけること
直接働きかけるようなイメージがある
後者は言わない。「安眠法」ならしっくりくる。
「術」
「術」の会意
行+朮(じゆつ)。朮は呪霊をもつ獣の形。この獣を用いて、道路で呪儀を行い、軍の進退などを決した。それで(述)・(遂)には、その決定に従い、ことを遂行する意がある。(字通)
呪「術」、権謀「術」数、「術」策などと通じるものがある
メイク「術」などはこのいい例かもしれない
「術」は法と比べて属人的なもの。こちらが直接相手に働きかけるようなスタンス(ときにまじないをかけるようなニュアンスを含む)。
「法」
「法」の会意
古い形では、氵・廌・去を合わせた字。氵は水。廌は、さわると罪人を区別できる動物。去は、追放すること。灋は、廌にさわって、悪い者を見分けて追放し、水のように公平にさばくことで、刑罰をいう。他の説に、廌は囲むことを表し、灋は、水を流し去らぬようにかこむことであるとか、水でかこまれた島に、珍しい獣を追い去って、出さないようにおさえることであるという。
水のように公平にさばくことから「法」律に通じる
「法」は個人をはなれて、公平に使用できる方法、というイメージ
issac.iconこれを踏まえて考えると
倉下式タスク管理術→倉下という人に属した、タスクを管理する方法のこと。(相手をこの方法の中にとりこむようなものを含む)
倉下流タスク管理法→倉下という人が考えた、タスクを管理する方法のこと。上よりも広く人に適用できるイメージ。
rashita.iconなるほど。