日付ベースと出来事ベース
ノートツールなどで、情報の単位をどう作っていくか、という観点を二つ想定してみる。
ノートやページ(ややこしいのでオブジェクト、とまとめることにする)の基盤を、このどちらにするのか、ということ。
日付ベース
日付のオブジェクトを作り、その中にその日起きた出来事を書いていく
デイリータスクリストが代表例
手帳や日記帳もこの形式
ikkitime.iconRoam Researchは、グレップ的な検索&表示方法で、プロジェクトの方をタグ化してるのですよね。ある意味折衷案? 使ってないけど。
データベースアプリケーションで、入力モード専用で、単票形式の表示モードを用意するような感じ。
出来事ベース
出来事単位でオブジェクトを作り、その中にその出来事のことを書いていく
学校の授業・講義ノートなどはこのスタイル
仕事であるプロジェクトの情報を書き留めていくノートを作ったら(プロジェクトノート)、それもこの形式と言える
記入する時点のことを考えれば、日付ベースが楽である。
その場所にまとめて記入すればよく、どこに何を記入するのか、という仕分けを考えなくてもよい
また、出来事の粒度についても考えなくてよい。
何を出来事の単位にするのかは人によってマチマチで、「ノウハウ」にするのは存外に難しい
一方で、たとえばScrapboxであれば、日付ベースで記述を進めると、関連リンクが嬉しくない問題が起きる。
cf.
日付オブジェクトは、その内側にたくさんの出来事を含んでいるので、何が関連しているのかがわかりにくい。
「山田君と斉藤君って似ているよね」→粒度が揃っている
「山田君と黄色人種って似ているよね」→粒度が揃っていない
関連ページリストを強く使う場合は、そうしたわかりにくいリンクが増えても嬉しくないし、むしろ全体の視認性が落ちるのでマイナスの影響もある。 ないほうが良い、ということ。
一方で、日付ベースで記述した方が、記述的には楽という点はさきほども確認した
理想的な運用であれば、Scrapboxではすべてを出来事ベースでオブジェクトを作成し、その内部に、リンク(ハッシュタグ)として日付を書き込むのが良いだろう。
日付はハッシュタグでよい
個人的にはこの運用をしていますtakker.icon
ないしは、日付はまったく無視するか、リンクではない通常のテキストとしてだけ残す
つまり、記述の楽さとリンクの強さを合わせて考えると以下の二つの運用がありうる
1
まず日付ページを作り、そこにさまざまに書き込んでいき、一日の終わりか、その日以降にそこから出来事ごとにページを切り出していく。その後すべての要素を切り出したら、そのページを削除してしまう→ハッシュタグ化 実際にこの運用をするのは難しいと思いますtakker.icon
ページを切り出すというルーチンワークをするのが億劫になる
あくまでtakker.iconのケースですが、クリックではなくマウスホバーで中身を見れるようにすると、少しこのハードルが下がります
日付ページを開いてあるとしても、そこからページを切り出すこと自体難しい
切り出す話題の単位を見極めなければならない
話題の単位が見つかったとしても、その単位にふさわしいうまいタイトルをいつもすぐに思いつけるわけではない
以上のコストがあるので、定期的に日付ページに書き込んだことを後から切り出すのは難しい
逆に、毎日もしくは定期的にページのリファクタリングをするのが苦ではないもしくは既にそういう習慣を身につけている人なら、うまく運用できるかもしれません
ちなみに、これはページを切り出すことがいつも億劫だというわけではありません
普段は話題の単位を見つけてからページを切り出そうと考えるので、それほど億劫ではありません
切り出したい部分を既に見つけている
一方、ここで言及している運用の場合は、先に「ページを切り出す」という行為が切り出す話題を見つけるより先に来てしまっているので
そのページを削除してもそのリンクは機能するので、日付をハッシュタグとして使うことができる。
2
日付のオブジェクトは別の場所・ツールで作り、そこでいろいろ書きつけたあと、特に残したいものについてはScrapboxで出来事ベースでオブジェクト化する、というもの。
cf.
nora.icon個人の運用例ですが、この頃はScrapboxに日記用のプロジェクトを作り、「yyyymmdd_出来事」というページをどんどん作っていくことにしています。日付ベースか出来事ベースかで言えば出来事ベースですが、日付を強く意識した形です。
ほぼ全てのページが「yyyymmdd_出来事」の形なので、「日付と関係ないページ群の中に、日付に関係したページがある」という事態にはなりません。
肝心なことを書いていなかったけど大抵1日に複数ページ作ることになります。
この「出来事」はその日の代表とかではなく、「出来事単位のページに、日付をつけている」ということです。
rashita.iconこちらは日付をつかっている、出来事ベースという印象ですね。
「yyyymmdd_出来事」は、日付情報をメタ情報に含むオブジェクト、という感じ。
この手法と、日付ベースの管理は何が違うのか。
nishio.icon「日付_出来事」方式は、タイトルをつける時点で「出来事」が言語化されている必要がある
「まだ出来事を言語化できてない状態」でScrapboxに記録をつけようとすると日付ベースになるのでは
たとえば「今日は予定のない休日で天気がいいから散歩しよう」と思ったときに「日付_散歩」とすることもできるし、出来事未特定なまま「日付」ページにすることもできる。散歩の過程で見たものや感じたことをつらつら書いて言った後で、事後的に「日付_Xの考察」になるかもしれないし、何か面白い施設fを見つけて「日付_f」になるかもしれない
nora.iconほぼ同じですね。違いがあるとすれば、「日記プロジェクトである」という意識によって「yyyymmdd_出来事」を「日記の断片」と認識している点があります。(100%気持ちの問題)
nora.icon私のイメージの根幹に、ほぼ日手帳ユーザーの人が毎日見出しをつけて3つくらいの出来事を1ページに書いていた作例があります。ブロックの集まりとしての日記、というイメージ。
rashita.iconちなみに、連続的な出来事の場合はどうなるでしょうか。
明らかに連続的な場合(二日に及ぶ何かしら)
事前には予定していなかった連続(解決したと思っていたトラブルが3日後に再発)
あたりの対処というか処理というか。
nora.icon明らかに連続的な場合は「~」をつけて「yyyymmdd~_出来事」の形にしてしまいます。完了した時は、完了したということが自分にとってイベントだと思うときには完了日にまたページを作って完了したということの気分を書いたりします。
nora.icon断続的な経過の記録については、自分の気分を基準に、ページを改めるほどでなければ最初の「yyyymmdd_出来事」のページの中に本文として年月日を付して書き込みます。「再発した!やべえ!!一大事!!」みたいな場合は新たにページを作ります。
nora.iconこれはあくまで日記であって、プロジェクトとして大きいことや試行錯誤の記録が必要なこと、情報の正確な整理が必要となることは詳細をmarkdownファイルかDynalistに書きます。日記としては気持ちのサイズ感を重視してページを作ります。
nora.iconつまり、個人規模の情報管理で日付を基準にできるのは、基本的に「自分の気持ち」が軸になっていることなのかも?(要検証)
nora.iconちなみに、自分が経験したわけではないニュースについては、日付の後に「N」を付けて「yyyymmddN_ニュースの内容」として、「N_」をタイトルに含むページにCSSを当てて一目でニュースだとわかるようにしています。