改めてウェブにおけるマテリアルオネスティとは
先日ウェブの父ことティム・バーナーズ=リー氏が Inrupt というスタートアップを通して分散型プラットフォーム Solid 発表したのは記憶に新しいかと思います。 GAFA 躍進の裏でウェブの世界には確実に揺り戻しが起こっています。
そこでウェブは本来どうあるべきなんだろうかというのをマテリアルオネスティという考え方から探ってみたいと思います。 遡ること時は 1849 年
マテリアルオネスティとは「素材は模倣した何かではなく、それ自身であるべきだ」という考えです。
この考え方はウィリアム・モリスにも強い影響を与え、アーツ・アンド・クラフツ運動の中心思想になりました。
イームズの LCW はモダンで美しく、機能的で誕生から 80 年以上経った今もなお愛されていますよね。 https://gyazo.com/44754f1ccb7dc5d3e5571051590ae0a2 https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B003M745AO/ref-00-22/
ウェブにおけるマテリアルオネスティとは
ウェブを構成している素材は間違いなく HTTP と URI、そのコンテンツであるところの HTML です。
このウェブにおいてなにが「オネスト」でなにが「非オネスト」なんでしょうか。
ぱっと思い浮かんだものを挙げてみます。
table:ウェブにおけるマテリアルオネスティ
オネスト 非オネスト
レスポンシブデザイン ピクセルパーフェクト
CSS および JavaScript Flash
ブルータリストウェブデザイン スキューモーフィックデザイン
リンクテキスト ドロップシャドウつきボタン
フォントで表現されたロゴ 画像化されたロゴや見出し
ブラウザ WebView
スクロールによるコンテンツの読み込み 電子書籍でのページめくり
RSS feed Web プッシュ通知
対して純粋な HTML / CSS / JavaScript は近年再評価され PWA はひとつのアプリケーションの形として確立しつつあります。
やっぱり、どうあがこうとも「オネスティ」な流れには逆らえないのかもしれません。
ウェブデザインについても考えてみます。
長らくウェブデザインは「紙」や「インク」を模倣してきたと言えます。
しかし紙の再現をウェブでやるために Photoshop や Illustrator でつくりこむ時代は終わってしまいました。
Sketch や XD といったウェブやアプリといった各々の環境に対応できるデザインツールが台頭してきています。
https://gyazo.com/66ba45b02c9c12c6f1e77d7a7dba6858
冒頭で触れた Solid も個人に帰属するはずの投稿や行動といった情報を GAFA のような企業が所有してしまうのは「非オネスト」で、そういった点で Solid は明らかに「オネスト」なのでウェブの父が非常に楽観視しているのも納得いく気がします。
「オネスティ」の万能さよ
なんだか「オネスティ」ってとてもつかいやすい言葉ですね。
具体にも抽象にもつかえるし、なにかを説明するときに便利ですね。
ユーザーにオネスティであるならよくわかる気がしないですか。
どちらにせよ、何が「オネスティ」で何が「非オネスティ」なのかというのは日常的に問えそうです。
この施策ってオネスティなんだっけ、とかうちのサービスって何にオネスティなんだっけとか。
オネスティかどうかを考え、ものごとの根源を改めて見つめることでよりよい世界に近づけたらなぁと思います。
参考資料
ブルータリズムとい建築形式をウェブにおいて考えてみたもの
フラットデザインは流行りであってスキューもフィックデザインとともにマテリアルにオネスティかどうか考えるのは不適当だとするブログ
いいデザインのための 10 の原則
ミニマルデザインの 5 原則
デザインは世界を変えられるにも関わらず、全然世界を救っていないという話