vol.476 秘奥の滝を求めて
2025-04-10
・30歳の登山の思い出
・良い滝、悪い滝
・マロニーの少年時代
・剱岳の行者間の逸話
・行者の修行
前回は行者さんの話してて、なんか飛んで飛んで、私が山行った、昔は山行った話しましたよね。なんでそんな話したかっつうと、マロリーの話してたんだ。
マロリーは天才的ですよね。私…私は別に天才的でもなんでもないんだけど、その20歳代、30の頃かな?30歳か30歳になる前ぐらいかな?あっち、あっちだよ。立山の…剣岳?あの辺だよ。剣岳がもっとこっち側、剣岳つったらもう立山連峰の中に入ってんだけども、もっとこっち、なんつうの?上高知か。上高知行った?
アン)
あ!まだです。
上高地よりもう少しこう山側に入ったとこなんだけど、その辺りでずっとこっちから。えーとね、こっちからってのはどこだ?日光だ。日光の山あたりからずーっと行って、あの辺まで。
その中央山塊、日本の中央山塊を、滝を求めて、流浪の旅をしたことがあったんですよ。滝で修行するためにね。
なかなかいい滝がないのよ。それもね、あれなんだよ。いい滝、悪い滝ってのはね、そういうことやってる時だけわかるの。
今はもう多分わかんないと思うけどね、そういうこと。やれって言われないから。
その時はやれって言われたからやってたんだけど、そうするとね、わかるのよね。この滝は変なものがいるなとか。いるんだよ、やっぱ。
みんなその超能力を求めてくるから、霊験って言うんだけどね、霊験を求めてやってくるから、例えば「なんかしてください、お願いします、お金が儲かりますように」とかさ「彼とうまくいきますように」そんなんばっか来るわけ、滝に滝修行に。だから、もうろくなもんがいないわけよ。
で、そういうとこはやっぱダメなのよ。で、そういうとこ分かるの。「あ、やっべーな」とか。で、そこはやめて、やっぱそうすると、段々だんだん奥行っちゃうわけよ。
で、奥行くと、やっぱあるの。ほんとに誰も…誰も来れないようなとこないんだけども、でも、ほとんど普通の人は入ってこれないようなとこ行くわけよ。
そうすると、そういうとこに行くにはね、やっぱ普通じゃダメなのよ。
怖くていけないよ。私、もう本当に高いとこ怖い人だから、もう絶対行けないんだけど、その時は本当にもう、ほんとに、10センチぐらいの幅の崖をスルスル行っちゃうわけよ。
落ちたらどうすんのって思うんだけど、怖くないんだよ、そん時はね。そういうことがあるわけ。
ところが、マロリーっていうのは、もう天性のそういう才能があったわけ。
子供の頃から、もうなんか普通の壁ね、あの、なんだ、上にこう、給水塔があるような、でかいこの、ヨーロッパにあったんだ、あったらしいの。そういうとこ登っちゃうわけ、子供の頃に。で、怒られてるわけ。「危ないよ」とか言われてね。
私はそうじゃないんだけども、やるときはやるんだよ?
今はやんないけど、今もう頭ボケてるただの老人だけども。
で、そういうわけで、そういう行者がですね、その登った行者は、やっぱそういうフィジカルがすごかったんですよ。
でね、ピュアだったの、すごい。ピュアってのは信じやすかったというか。
だから、そういう噂があるわけよ、剣岳に。
もうすごい、その剣岳ってのは大変なとこなのよ。地獄。立山信行ってのがあって、その剣岳ってのはもう地獄なんだって言われてるわけ。
もう地ご…針地獄って昔あったの、あの。いろんな地獄があって、そこの地獄に落ちたから、針がいっぱいあって、針千本って、そこに落ちたらもう針に刺されて何回も死ななきゃいけない。生まれ変わっては死に、生まれ変わっては死にやんなきゃいけないっていう象徴が、その尖った剣岳に、針地獄があると言われてたんだよね。
だから誰も行かなかったけども、行者間の中では「あそこのてっぺんに登ったらお前すごいんだよ、あそこへ登ったらお前ね、覚醒しちゃってよ、すごいんだ。もう全部どんな能力でも得られる。もうスーパーマンになっちゃうよ」っていう噂があったわけよ。
だから、登るよみんな、それは。その行者ってのはもうクズだから、はっきり言って、もう本当に。もう、あれ、虚空蔵東京本の第1部品の付録についてた「妖怪」の中に行者の話書いてあったけども(御祭舟第一巻付録「妖怪」)みんな大体まともなんだけども、やっぱクズもいっぱいいたわけよ。
一般の方を騙して、まぁ手品だよね、手品で。超能力使えないやつがほとんどだから、手品でだましてお金をもらうとか、ご飯、お米をもらうとか、味噌貰うとかやったわけよ。
ところが、このあそこ登ったやつは、剣岳登った人はすごいピュアな人で、真面目に真面目に修行ほんとにしてんの。滝行とかですね、あと断食とか、五穀立ち?要するに米とかそういうの食べないわけよ。
もう…なんつうの?ただ、木の実(このみ)とかは食べるよ。木の実(きのみ)ね、とか食べたり、山菜とか食べたり。で、塩断ちとか色々やって、すごい真面目な人。
ただそれはひとえに超能力が欲しかったの。
だからよし、じゃあもう。で、何回も…あのね、他にも登ってるんですよ。あのー、剣岳には行者が。で、みんな死んでるの。で、誰も登ったこと、てっぺんまでは登ったことがないって言われてる、噂があるわけね。
だから自分はもうこんだけ修行やって、やっぱりなんも得られてない。多少は得られたよ?でも本当にこれだっつうのは得られてないから「じゃあ登ってみよう」っつうんで登ったんだよ。
はい。その詳しい話は次回。
vol.477 古川に残された時間は3年?