vol.444 ディラック方程式が生まれた流れ
2025-03-09
・スーザンさんからのお便り①
・ディラック方程式が生まれるまで
・方程式の進化
・陽電子の発見
・負のエネルギーの概念
・随分昔の理屈理論
・非互換性の詳細
はい、えーおはようございます
いよいよ2025年1月18日
昨日来たやつかな?スーザンさんからの
やっぱしあの一【存在と非存在】の話しですね
それのお便り来ています
「動画394にて、存在と非存在についてのご回答を頂き誠にありがとうございました。」
これだいぶ前、半年ぐらい前のやつだよね
「ご回答の内容は私が考察していたものとは大きく異なっていたため、お言葉の意味を少しでも理解出来るよう、」
「地道に学び続けていく所存でございます。本日は動画で宿題を出して頂き、改めて存在と非存在について考察させて頂きましたので、」
「その内容について投稿させて頂きました。まだまだ見当違いなところが多くあるような気がしておりますが、どうぞよろしくお願い致します。」
今日は…今日はちょっとですね
エネルギーが相当持っていかれていますんですみませんね
あの読み違いとか取り違い、いっぱいあると思いますけども、勘弁してください
「まず、動画内では存在と非存在の具体例として、電子と反電子(陽電子)を取り上げて頂いたため、」
「再度抽象的なロジックにはまり込んでしまわないよう、電子・陽電子の勉強からスタートさせて頂きました。」
「その中で、陽電子の存在が初めて文献に登場したのは、1928年頃、物理学者ポール・ディラック」
だね、ディラックは有名だね
「の理論的な研究の中であったと学びましたが(その後1932年には実験的にも陽電子の存在が確認されたと知りました)、」
「その時代には、①電子などミクロな対象の振る舞い(動き)を記述するシュレディンガー方程式は、特殊相対性理論で、」
「肝となるローレンツ変換を施すと方程式の形が変わってしまうため、相対論との相性が良くないと考えられた」
「(特殊相対性理論はローレンツ変換で移り合う系は同等に扱えることを要求するが、シュレディンガー方程式はそうではなかった)」
そうだね
「②したがって、E=mc^2のような式が重要になる高エネルギー状態を(光速に近い速さで動き回る粒子を)、
シュレディンガー方程式を用いて(当時の量子力学で)解析することは難しいと判断された」
当時はね、うん
「③そこでシュレディンガー方程式がローレンツ変換を満たすように拡張する研究が盛んになり、
その過程でディラック方程式と呼ばれるものが発見された」
ま、これつじつま合わせだね
あんまこう、これ今ね説明してもいいんだけど、いま面倒くさいから説明しません
あとで簡単に説明しますからね一応読んでいきます
(字幕 ここではサラリと流していますが相対論とシュレディンガー方程式の非互換性の詳細を、最後に記しておきました
お知りになりたい方は、ご覧ください)
「④ディラック方程式を解くと、「マイナス」のエネルギーを持った粒子(電子)を表す解が得られることが分かった」
「⑤このマイナスの(負の)エネルギーを持った粒子が反粒子である」と
う〜ん…まぁそう…
「という理解に到達していたと知りました。」
当時はね
「ただ、負のエネルギー状態を認めると、粒子はどこまでもエネルギーが低い状態を求めて状態が遷移し続けていってしまうため、」
「物質が安定しないことが問題視され、この点に関しまして、⑥粒子は正のエネルギー状態と同様、負のエネルギー状態をとっても良いが、」
「(正のエネルギー状態には空きがある一方)負のエネルギー状態は同種の粒子によって全て占有されており、空きがない状況であると考えられた」」
当時はね
「(負のエネルギー状態が粒子により全て埋め尽くされている状態が「真空」と定義された)」
あったあった
これ私…高校…高校の頃だね
と思うんだよね
学んだよね
数学的には学んでいないけど、物理的に学んでたよこれ
ディラックの真空
真空⑦ね
「⑦したがって、仮に粒子がエネルギーを失って真空状態に至っても、そこからさらにエネルギーが低い状態には空きがないため、」
「負のエネルギー状態に遷移することは出来ない(外部からエネルギーを得て正のエネルギー状態へ遷移することしか出来ない)」
何か変だよね
これちょっとね
「⑧真空にエネルギーを2Eだけ与えて、」
まぁ2つのエネルギーだよね
2倍のエネルギーだけ与えて
「-Eのエネルギー状態にあった粒子が」
「Eという正のエネルギー状態に遷移した場合、エネルギーEの粒子が生成されると同時に、-Eのエネルギー状態に空きが出来る(真空に「穴」が開く)」
という風に解釈されたんすね
「⑨この真空に開いた-Eのエネルギーを持つ穴が反粒子であると考えられた」と
当時はね、
「⑩逆に、この穴にエネルギーEを持った粒子が遷移してくると、エネルギーがEの粒子と」
「エネルギーがEの穴(反粒子)が共に消えて元の真空(O)に戻るという説明がなされていることを知りました。」
どこで知ったんだこれ
随分昔の理屈理論を…に辿り着いていますねスーザンさん
もう時間が来てしまった…えーとスーザンさんのなんか
そのなんつうの?物語を読んでいる内に時間が来ちゃった
これちょっとねまだちょっとあるから、次回ちょっとお話しします
じゃあ今日はここまで
(以下 ナレーション)
相対性理論とシュレーディンガー
方程式の非互換性とは、主に以下の点を指します。
①背景と前提の違い
相対性理論(特殊および一般)
アインシュタインの相対性理論は、「空間」と「時間」を統一的に扱い、全ての物理現象は「光速以下」で伝播するとしています。
さらに「原因と結果の因果関係」も厳密に保たれるとされています。
シュレーディンガー方程式(量子力学)
シュレーディンガー方程式は非相対論的な量子力学の方程式であり、粒子の波動関数の
「時間発展」を記述しますが、「光速を超える効果の伝播」や「粒子の生成・消滅」といった現象を扱うことができません。
②非相対論的方程式であるシュレーディンガー方程式
シュレーディンガー方程式は、粒子のエネルギーを以下の非相対論的な運動エネルギーとして表現しています。
https://scrapbox.io/files/67cd95fbc88bfc31c0ed746e.jpg
しかし、アインシュタインの特殊相対性理論では、エネルギーと運動量の関係は次の相対論的な関係式で表されます。
https://scrapbox.io/files/67cd961304d0fe96f2a09afa.jpg
つまり、シュレーディンガー方程式は「速度が光速に近い領域」や
「粒子の生成消滅」などの相対論的現象を扱うことができません。
③時間と空間の非対称性
相対性理論では「空間」と「時間」は一体的に扱われ、両者は対称的であり、同等な次元として扱われます。
また、因果律を守るために「信号の速度は光速以下」である必要があります。
シュレーディンガー方程式では「時間」と「空間」が非対称的に扱われています。
シュレーディンガー方程式は時間について1回の微分、空間については
2回微分という非対称な形式で書かれています。
これは時空を対称的に扱う相対性理論とは明らかに異なります。
④粒子数の保存と粒子生成・消滅の問題
シュレーディンガー方程式
基本的に粒子数が一定である系を想定しており、粒子の生成や消滅を記述できません。
相対論的量子力学(場の量子論)
粒子の生成・消滅を記述できる理論が必要になります。相対論的量子場の理論(量子電磁力学、標準模型など)が該当します。
⑤量子力学と一般相対性理論の統一問題(量子重力問題)
さらに一般相対性理論と量子力学(シュレーディンガー方程式に代表される)の
根本的な矛盾は、特に「重力場の量子化」や「ブラックホール内部」のような極限的な状況で顕在化します。
一般相対性理論は重力を「時空の曲がり」と解釈し、滑らかで連続的な構造を仮定していますが、
シュレーディンガー方程式はここの「連続的な時空そのものの量子化」を扱うことができません。
まとめ(非互換性の本質)
シュレーディンガー方程式は本質的に非相対論的。
相対性理論(特殊および一般)は時空を連続的で対称的に扱い、因果律を厳密に維持。
シュレーディンガー方程式では「光速を超える効果伝搬」が許容されてしまう(非局所性の問題)。
「粒子数保存」など非相対論的仮定のため、相対論的現象(粒子生成・消滅)が記述不能。
時空の量子化を行うには、シュレーディンガー方程式ではなく「量子場の理論」や「量子重力理論」が必要。
こうした理由により、シュレーディンガー方程式と相対性理論は本質的に互換性がなく、
相対論的な量子現象を説明するためには、相対論的な量子場理論(ディラック方程式、量子電磁力学、標準模型など)や、
さらには量子重力理論(弦理論、ループ量子重力理論など)が必要になるというわけです。
以上簡単に説明しましたがわかりにくい部分もありますのでそのうち詳しくお話しします