オペアンプを使った2次ローパスフィルタ
トランジスタ技術SPECIAL No.153 p.132
フィルタ回路
https://gyazo.com/38c3237192d933550b8c74502ace0516
LTspiceでシミュレーション
カットオフ周波数1kHz
入力:100kHzの矩形波
https://gyazo.com/bf1070029408eb2f2c67fcd9b4fb3472
シミュレーション用回路
https://gyazo.com/a2824404a9da66fcbc72a4751c64a3f8
C1、C2の容量を変え、カットオフ周波数を変化
table:カットオフ周波数
X fc C1 C2
0 1kHz 15nF 6800pF
1 2kHz 15nF/2 = 7.5nF 6800pF/2 = 3400pF
2 10kHz 15nF/10 = 1.5nF 6800pF/10 = 680pF
シミュレーション結果
https://gyazo.com/8cddc4d7d545f6b97d26eac69818fa6c
fc=1kHzでは、信号が一定になるまで1.2ms程度
fc=10kHzでは、信号が一定になるまで0.12ms程度
リプルがかなり残っているのが分かる
リプルの観察
https://gyazo.com/df47a5871cc4f76daea639f11af452bb
fc=1kHzとfc=2kHzでは4mV程度のスパイクが出る
fc=10kHzでは40mV程度のリプルが残る
実測
C1=10nF、C2=5600pF
https://gyazo.com/b8549ec316bfd6248fd9ffcbd7b6e210
CH1=IN、CH2=OUT
入力は100kHz矩形波
出力はマイナス方向に1.65-0.5=1.15Vものスパイクが出ている
考察
矩形波に対してスパイクを原理的に無くせない回路だと言えそう
入力信号が立ち上がった直後を考えたい
入力信号が0Vのとき、OUT=1.65Vとする
バーチャルショートより、オペアンプのIN+=1.65V
C1の左端(入力側)の電位はR1とR2の抵抗分圧により(0+1.65)/2=0.825V
C1の両端電圧(両端の電位差)は1.65V-0.825V=0.825V
入力信号が3.3Vになった直後は、まだC1とC2の電荷は変化していない
C1の両端電圧は0.825Vのまま
C2の両端電圧も変化していないので、オペアンプのIN+=1.65Vのまま
C1の左端は(3.3+1.65)/2=2.475Vとなる
0.825V→2.475Vなので、1.65Vの上昇
C1の右端は2.475V+0.825V=3.3Vになる
ということで、本当に一瞬で0V→3.3Vに変化するような矩形波を入力すると、1.65Vのスパイクが出る
実際はわずかに時間をかけて0V→3.3Vに変化するので、スパイクはより小さくなる
入力が高まる間に、オペアンプの負帰還が働き、出力電圧を下げようとする
入力の変化に出力の変化が追いつかない分がスパイクとなる
仮説
オペアンプを使ったLPFは、本質的に矩形波入力には弱そう
であれば、前段にパッシブフィルタを入れて信号を鈍らせれば良いのではないか
カットオフ周波数10kHzとなるCRフィルタの定数は、CR=1/(2πf)=1.59E-5
C=10nF=10E-9とするとR=1590Ω
仮説検証の回路
https://gyazo.com/f5b157945ce20565c373e40c085db058
R3とC4によるCRフィルタを追加
カットオフ周波数≒10kHz
https://gyazo.com/8317fe4fc184377b1332ec2970b692ad
赤線のリプルが明らかに減っているのが分かる
代償として、波形の応答性が少し悪化した
https://gyazo.com/daede13c2204991fd2717e0436f8f11e
スパイクと呼べるものは見えなくなり、リプルが0.1mV程度まで低減
さらなる改良
前段のCRフィルタは、矩形波の立ち上がり・立ち下がりエッジを何とかできればいいだけで、カットオフ周波数は高めで良いはず
C4=1nFとし、カットオフ周波数を10倍(100kHz)に高めた
https://gyazo.com/82d46397eea12a7438cf194ef93957e4
波形の応答性が改善
https://gyazo.com/13277a7ec4f641fc634d39b4235655cf
リプルは1mV程度まで上昇
当初は40mVのリプルがあった赤線も1mVに低減したので、十分な効果ではある
前段フィルタの出力の観察
先の回路からの変更
X=2に固定
サレンキー型LPFのカットオフ周波数=10kHz
CRフィルタの出力をPREと命名
https://gyazo.com/6b0cc22c44c60e1330d00948d5553fc1
https://gyazo.com/200ff1638afcbf8e9a9d40a3839a294b
PREはほぼ三角波
これならオペアンプの負帰還が追いつくのも納得
高速オペアンプの効果
CRフィルタを使わない、オリジナルのサレン・キー型LPFで実験
C1=10nF、C2=5.6nF
LM385N (HTC) を使用した場合
https://gyazo.com/80c4df6ca437384f98c3ab75c33aa2a8
NJM2742Dを使用した場合
https://gyazo.com/f9f7475c4c5a2fea3f4c855a5e585885
オペアンプを差し替えただけなのに、圧倒的な違い
スルーレートの違いに起因?
データシート上のスルーレートが20倍違う
LM358N:0.5V/s
NJM2742D:10V/s