このように香水瓶と、そのラベルに押された名前の詩情によって香水の嗅覚的観想への道が開く。嗅覚美学は共感覚と、「悪の華』の著者が見事なまでに感知していた、音と色と匂いとの照応とを前提としている。香水の力は匂いの範疇を越える程で、隣接した感覚をその豊かさと多様性が混じった中に復元している。香水瓶を開けることは一つの世界を開くことであり、お互いに応え合う匂い、音、色、風味を感じることである。