「自分自身」を主張するランペルの成長
これまで他人の存在を乗っ取ることで生きてきた彼が、誰にも教えてこなかった自分の名前を繰り返し口にしているという変化だ。
あだ名……つまり自分以外の名前で呼ばれることを否定し、マリオでもトロンでも誰でもなく“自分自身”を主張している。 要するにここでのランペルは、他人ではなく自分として生きたいと思うようになっている。
ここのカゲ三人組のバトルではビビアンの成長も描かれているが(※1)、同時にランペル自身の成長も描かれているということになる。 このゲームの丁寧なつくりにどこまでも感動させられる。
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これまでのランペルは他人が築いてきた居場所を奪おうとしていた。
歴史あるオドロン寺院を乗っ取ることから始まり、マリオや、トロンを騙り……
カゲ三人組の空いた穴に入ったことも、他人の居場所を奪ったことになるだろう。
これまでの乗っ取りが懲らしめられていたことを考えると、今回カゲ三人組に入ったことが初めての乗っ取り成功だったかもしれない。
しかし、それは本当にランペルが望んだ結果をもたらしたのだろうか?
他人(ここではビビアン)のこなしていた役割を与えられ、自分自身を尊重してくれているとランペルは感じたのだろうか。
おそらくそうではなかった。他人の居場所は自分の居場所ではない。ランペルは理解し始めている。だから自分自身を主張し始めている。
“他人”が築いた居場所を奪おうとして、すべて失敗に終わり、その先でランペルは“自分自身”を主張するようになる。
最終的にエンディングでは、役者という自己実現の道を見つけ、ランペルは自分の本当の居場所を見つけている。