tanka

僕から離れた遠い通り雨　君に送られる濡れたEメール

全ての塵を眺めて山に見えたら手を洗おう、頂上でおにぎりを食べよう

瞳の輝きでアフリカを灯そう誕生日に欲しいものは何かな

秋雨を時速40kmで走る優越感エンストしても慌てないで

取捨選択の興味から外れたか厳しい視線で大事にされない

感覚を共有した瞬間に失われる気がする立派なアイデンティティ

壊れてもいいから身の潔白を示せ銀色の円盤にいる死んだ過去が人質

ビールシャンディガフジンジャーハイ梅酒土曜なので土星に帰ります

取り換え可能なアイデンティティー箪笥の中の夏にまた会えるのか

手を曲げ脚を曲げ腰を曲げ口を曲げ意見を曲げ志しを曲げ働く

食パンとミルクティーは要りませんと言いながら眠い眼を擦るマスカラ

新しいもの求めすぎていつまでも満足できないので新しい刺激をください

アイデンティティとは獲得するものである 当たり前とか言わないで

風葉風 風風葉葉葉 風風風 風風葉葉葉 風葉葉葉

オリオンが耐えられない冷気に耐えられなくなって缶コーヒーが冷える

月が大きいことを知らなくても月は綺麗 宇宙は静か 星は見えない

強い風が吹いて剥き出しの大地を撫でる 髪がなびく のをモニタで見た

朝早く起きて定時で上がり時間がないと愚痴る程度には若い

パンタグラフ この時間のこの進行方向で寝ていなければ常に勝てる

心臓 コントロールできないものにしか殺されない

ビール、モスコミュール、ジントニック、モスコミュール、梅酒、梅酒、ジントニック

自分の幸せを決められないひとが幸せになれるわけないじゃない

落ち葉を踏む楽しさを知らないまま死ぬ犬

やりたくないことやりつづけると なりたくなかった自分になれる

顔を商売にできて良かったなお前

サマーオブラブとかなに言ってんだという感じの暑さオブサマー

告げられるためにある日常 365分の1の長い待ち時間

アイス溶けた暑くて暑い夏が来て暑くて暑い夏が去るんだアイス溶けるよ

殺戮マシーンをつくるとしたらコードネームは love にする

あい(していると言えずにするいつもの普通なあい)さつ

人生の絶妙なタイミングでカフェオレを出してほしい

宇宙の膨張スピードについていけないひとはここで降りてください

ひとりでは生きられない 僕らは牛すら捌けない

視界にはいるひとたち 目の前にいないひとよりも 無関係なひとはひたすら無関係でないといけないのか

袋をあけてキラカードが入っていたときのような興奮を もう何年も味わっていない

紙の本 くらやみでぼんやり光ればいい 部屋が暗いとよく寝れるから

一生懸命いきてれば突然シェイクが飲みたくなる夜もある