ホラー小説を書く上で読んだら良い本は、ホラー小説そのものだけでなく、様々なジャンルの本からインスピレーションを得ることができます。以下にいくつかのジャンルと、そのジャンルからホラー小説執筆に活かせる要素を挙げます。
1. ホラー小説(王道からサブジャンルまで)
これは当然ですが、ホラー小説の書き方を学ぶ上で最も重要です。
古典ホラー: エドガー・アラン・ポー、H.P.ラヴクラフト、メアリー・シェリー(フランケンシュタイン)、ブラム・ストーカー(ドラキュラ)など。
学べること: 雰囲気作り、ゴシック的な要素、心理描写、恐怖の根源、古典的なモンスターの扱い。
モダンホラー: スティーヴン・キング、ディーン・クーンツ、ジャクソン、小野不由美、宮部みゆき、貴志祐介など。
学べること: 日常の中に潜む恐怖、キャラクターの内面描写、サスペンスの構築、グロテスクな表現(必要であれば)、現代社会の不安の反映。
日本のホラー: 稲川淳二(怪談)、京極夏彦(妖怪)、三津田信三(因習)、澤村伊智(日常ホラー)など。
学べること: 日本特有の心霊観、因習、都市伝説、じわじわと来る恐怖、情緒的な表現。
サブジャンル:
サイコホラー: 人間の狂気、精神的な恐怖。
ゴアホラー: グロテスクな描写、肉体的な恐怖。
スラッシャー: 殺人鬼、連続殺人。
クリーチャーホラー: 異形の生物、モンスター。
サバイバルホラー: 極限状態での恐怖。
オカルトホラー: 超自然現象、悪魔。
学べること: 各サブジャンル特有の恐怖の描き方、プロットのパターン。
2. 心理学・精神医学に関する本
人間の心の闇、恐怖、狂気はホラー小説の大きなテーマになり得ます。
学べること: 人間の心理の仕組み、精神疾患、トラウマ、集団心理、異常行動の根源。これにより、登場人物の行動や心理描写に深みを持たせ、よりリアルな恐怖を表現できます。
3. 歴史書・民俗学・宗教学に関する本
古くから語り継がれる伝承、因習、信仰はホラーの宝庫です。
学べること: 各地の言い伝え、妖怪、神話、儀式、死生観、土着の信仰。これらを作品に取り入れることで、独自の世界観や深みのある恐怖を生み出すことができます。特に日本のホラーは、民俗学的な要素が強いものが多いです。
4. 犯罪ノンフィクション・ルポルタージュ
実際に起きた事件や犯罪は、人間の恐ろしさを突きつける題材になります。
学べること: 犯罪者の心理、事件がもたらす影響、社会の闇。読者に現実的な恐怖を与えるためのヒントが得られます。ただし、フィクションと現実の線引きは重要です。
5. 科学書・SF小説
SF的な要素や科学的な知識は、既存のホラーに新しい視点をもたらすことがあります。
学べること: 科学の進歩がもたらす倫理的な問題、未知の病原体、宇宙の神秘と恐怖、ディストピア的な世界観。想像力を刺激し、これまでにない恐怖を創造する助けになります。
6. サスペンス・ミステリー小説
ホラーとサスペンスは密接な関係にあります。読者を惹きつけ、ページをめくらせるための技術を学べます。
学べること: 謎の提示と伏線回収、読者の心理を誘導する手法、緊迫感の作り方、物語の構成、どんでん返し。これらの要素はホラー小説のプロットをより強固なものにするでしょう。
7. 詩・散文・哲学書
直接的にホラーと関係ないように見えますが、言葉の美しさ、人間の本質、存在論的な問いは、ホラーの奥深さに繋がります。
学べること: 抽象的な恐怖の表現、言葉による雰囲気作り、死生観、人間の存在理由や意味に関する深い考察。
読書のポイント
なぜ怖いのかを分析する: 読んでいる本がなぜ怖いと感じるのか、どの要素が恐怖を引き起こしているのかを意識的に分析しましょう。
表現技法に注目する: 情景描写、心理描写、比喩表現、伏線の張り方など、著者がどのような表現技法を使っているかに注目しましょう。
アイデアの引き出しを増やす: ストーリー展開、キャラクター設定、世界観、テーマなど、様々な側面からアイデアのヒントを得ましょう。
これらのジャンルを幅広く読むことで、ホラー小説の核となる恐怖の表現力だけでなく、物語を構築する力、キャラクターに深みを与える力、読者を引き込む力を養うことができるでしょう。