二胞角
読み:にほうかく
英語:dichoral angle
名称について
文献によってはふつうに「二面角」と言っている。
気がかりなのは、「面」が有界な面分と無限に広がる平面の両方を指すことができる言葉だったのとは違って、「胞」は有界なものという語感が強いので、無限に広がる3次元超平面(3次元空間)を胞と呼んだり、それらがなす角を二胞角と呼ぶのは違和感があるという点だ。
定式化その1
4次元空間中に、2つの無限に広がる3次元空間$ \alpha, \betaがあるとする。これらがなす角を求めよう。
二者に共有点がないとき
平行であり、なす角は通常定義されない。
二者が一致するとき(すなわち、交わりが3次元空間であるとき)
これも平行ということが多い。なす角は定義しないか、0度(または180度)と定義する。
二者の交わりが2次元平面であるとき
共通部分$ \alpha\cap\betaに属する相異なる3点$ P,Q_1,Q_2を$ \overrightarrow{PQ_1}\perp\overrightarrow{PQ_2}であるようにとることができる。次に$ R_1 \in \alpha\setminus\betaおよび$ R_2 \in \beta\setminus\alphaをそれぞれ$ \left\{ \overrightarrow{PQ_1}, \overrightarrow{PQ_2}, \overrightarrow{PR_k} \right\} (k=1, 2)が直交系をなすようにとることができる。このとき$ \angle{R_1PR_2}がとりうる値は高々2通りある。(1通りの場合は90度、2通りの場合は互いに補角の関係にある。)90度以下のほうを指してなす角と定義することが多い。
定式化その2
4次元空間中に、2つの3次元半空間$ \alpha, \betaがあり、それぞれの「縁」となる2次元平面が一致しているとする。
このとき、上と同様になす角を求めることができる。半空間であることが効いて、とる値は0度以上180度以下の範囲で一意に定まる。
凸多胞体の二胞角は通常こちらで定義される。
計算法
法線ベクトルがわかるときは早い。↓のようにとり方に曖昧さがあるため、法線ベクトルのなす角かその補角のどちらかに一致する。
https://scrapbox.io/files/681ec97a978eec50197add00.png
図の説明:共通部分が1点に退化するように2次元に直投影されている。一方の法線を逆向きに変えるとなす角は補角に変化する。
文献
Richard Klitzing: dihedral angles, 未読。