コクセター図形
読み:コクセターずけい
英語:Coxeter diagram
多胞体やしきつめなどの図形がもつことがある高い鏡映対称性を表すグラフ。
名称について
「コクセター図形」と「コクセター・ディンキン図形」に意味の違いがあるかは調査中。
「ディンキン図形」とは明確に異なるものだが、似た性質もある。
ディンキンやウィット(E. Witt)も同様のグラフを考えていたとは1973年時点のコクセター自身の弁。 鋭意勉強中。
また、同時代および後世の人々によって記法の拡張が魔改造レベルで行われているので、適当なところで理解を切り上げたほうがいい。
断片的な解釈(順不同)
初歩的にはコクセター図形とは辺に重みとして2以上の整数値が付された完全グラフだと思っておけばよい。ただし、通例として、重みが3のときは数値を書かず、重みが2のときは辺そのものを書かない(辺を削除する)。
これによってほとんどの多胞体のコクセター図形は一直線状か三叉路状に収まる。
このグラフは鏡映群の基本領域の形状をよく表す。鏡映群そのものを表すと考えることもある。 グラフの各頂点は基本領域の「壁」(鏡)を表し、辺の重みが p であることは2つの壁がなす角度が π/p であることを表す。
壁の次元は状況によって変わるので適宜考えよう。
辺の重みを∞や正の有理数にする拡張的定義がある。
さらに、グラフの1つ以上の頂点にリングを付すことにより、鏡映群の基本領域における多胞体の頂点の位置を(大まかに)指定することができる。
多胞体の頂点は、リング付き頂点が表す壁からは離れており、リングなし頂点が表す壁には触れている。
基本領域に頂点が2つ以上ある場合には使えないのではないか。
コクセター図形から多胞体を一意に復元できないことがある。
図
https://scrapbox.io/files/68091ff7280e524533469710.png
画像の解説
2次元の場合。鏡映群の例として二面体群 D_4 をとった。
グラフの頂点が左から順に青い壁と赤い壁に対応するとする。
画像上半分では群の基本領域を1つ図示した。基本領域は境界を含む。
画像下半分ではこの対称性を持つ図形の例として正方形をとった。基本領域内の緑の頂点は、青い壁からは離れて赤い壁には触れる位置にある。
画像にないことの解説
x4o と o4x は区別しない。
x4x から復元される多角形は一意ではない。正でない8角形の形状は定まらない。さらに正8角形というより高い対称性( o8o あるいは x8o )の図形が紛れ込んでいる。
グラフが一直線状にならないときも代用表記は1行に収まる。詳しくは Klitzing を見よ。
文献
コクセター: 『正多胞体』, 丸善出版(訳書2022), 85-92ページおよび189-201ページおよび281-284ページ
単に「グラフ」と呼んでいる。
リング付き頂点が1つの場合しか登場しない?
Polytope Wiki: 「Coxeter diagram」, 白抜き頂点あたりから下はコクセター(訳書2022)に登場しない
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