H. S. M. Coxeter
読み:H. S. M. コクセター
数学者。故人。(1907-2003)
多胞体論の研究史が人物ベースで語られるときには、この人は外せないという。
数学が現代的に抽象化されようとする時代の潮流の中で、豊かな図形的イメージを決して損なわず、魅力的な成果を得た。自他ともに認める通り「幾何学を救った」。
著書の一つ『正多胞体』は、原著1948年、原著第3版1973年。2022年にようやく日本語版が刊行された。
(それ以前にも銀林浩によって『幾何学入門』(原著1961, 訳書1965)が和訳されていた。『正多胞体』はニッチで難しすぎたのだ。)
他の業績・活動
画家のエッシャーのファン。1950年代に彼を知ると、双曲平面の円盤モデルにおけるタイル貼り(円の中に書いた図形が端に行くほど小さくなるあれ)というものがあることを伝えた。エッシャーの新作『円の極限』シリーズはそれで生まれた。
群に関するトッド・コクセターのアルゴリズム。
文献
H. S. M. コクセター, 一松信(監訳), ほか3名(訳): 『正多胞体 高次元正多面体原論』, 丸善出版(2022)
原著第3版に対応する和訳。
この文献は当 Project では頻繁に登場するので、多く次のように略記しています
「コクセター: 『正多胞体』, 丸善出版(訳書2022)」
「コクセター(訳書2022)」