HTTPS化(常時SSL化)とSSL証明書にまつわる議論
前提
DV認証
OV認証
EV認証
HTTPS化でできること
SSL暗号化通信
どの証明書でも可能
証明書の種類でSSL暗号化通信の強度は変わらない
組織実在証明
OV認証、EV認証で可能
コスト
EV認証 > OV認証 > DV認証
DV認証は無料~数万円
EV認証、OV認証は数万円~数十万円
HTTPS化に対する否定的な意見
特定企業へ権力が集中することへの忌避感
ブラウザ開発企業による規制/ルール作り
例)GoogleによるChromeでのHTTPS強制の動き
HTTPしか提供していない過去のWebサイトのコンテンツにアクセスできなくなる
事実上の焚書
認証局の存在によるWebでの自由な発信への干渉
認証局に金銭を払わないとWebサイトを持つことができなくなる
Webの多様性が失われる
認証局の利権化
認証局とリセラーに対する否定的な意見
ユーザーに対する優良誤認
“信頼性”という曖昧な売り文句
高いお金を払ったほうが“信頼性”が高いと言ってるが……
証明書の種類でSSL暗号化通信の強度は変わらない
組織実在認証に価値がある???
あんまり信頼性に寄与していないことが分かってきた
後述
「企業」という単語を多用して企業のIT担当者にOV認証、EV認証の証明書を買わせようとしている
DV認証も商用利用できる
Webサイトの内容や、得られる効果によって、OV認証やEV認証が必要か判断するべき
OV認証に意味はあるのか
あんまりない
あんまりないから、EV認証が生まれた
その後、EV認証も意味がないことが分かってきた(後述)
なら、最小限の組織実在証明だけしておけばいいか……という企業が増えて、OV認証が再び使われるようになってきた
EV認証に意味はあるのか
あるとされていた
EV認証だということがブラウザで一目で分かるようになっていた時代があった
アドレスバーや鍵マークが緑色に変化
アドレスバーの横に組織名と認証局の名前が表示
↑こういうのが企業のブランド力向上に繋がる!というのが証明書の販売代理店の売り文句だった
2018年の記事
2019年頃から、EV認証に意味がないことが定説になった
ブラウザから優遇されなくなった
証明書によってブラウザ上の見た目が変わらなくなった
OV認証、EV認証の証明書を導入した際に想定される、理想的なユーザーの行動
Webサイトごとに証明書の確認
アドレスバーの鍵マークをクリックし、証明書の内容から組織実在証明がされていることを確認
(あれば)サイトシールをクリックし、証明書の内容から組織実在証明がされていることを確認
問題
一般ユーザーが本当にこんな行動をとるのか
HTTPS通信や証明書に対する知識が必要
組織におけるDV / OV / EV証明の割合
DV認証 >> OV認証 >>> EV認証
Webサイトの信頼性を担保する方法(組織実在証明以外)
信頼できるソースからWebサイトにアクセスしてもらう
そもそも検索エンジンからWebサイトにアクセスしようとしているから、フィッシングサイトなどが表示される
会社のパンフレットや名刺から正規のWebサイトに直接アクセスすればよい
属性型・地域型JPドメイン名を使う
ドメインの取得に条件があるもの
例
co.jp
日本国内で登記を行っている会社
go.jp
日本の政府機関や各省庁所管の研究所、特殊法人、独立行政法人
自分が相談されたら答えること
HTTPS化は通信を暗号化するのが主な役割
証明書で信頼性云々は、おまけ
効果があるかは怪しい
認証局とリセラーのセールストークだということを理解して判断する必要がある
OV認証、EV認証を使うコストはかなり高い
証明書それ自体のコスト
サブドメインがある場合の、ワイルドカード、マルチドメインサーバ証明書にかかるコスト
組織実在証明にかかるバックオフィスのコスト
事実上、自動更新ができないことによる保守作業のコスト