空間
数学における「空間」とは、単なる点の集まり(集合)に、何らかの「構造」(ルールや関係性)を追加したもの
この「構造」によって、点同士の関係や全体の形を議論できるようになっている
空間を構成する2つの要素
集合 (Set) foundational element
これは「点」の集まり
空間の材料となる、最も基本的な要素
ただ点が集まっているだけで、点同士の位置関係や距離といった概念はない
構造 (Structure) defining characteristic
集合に特定のルールや意味づけをする
この構造によって、点の「近さ」、図形の「形」、変換の「連続性」などを数学的に扱うことができる
具体的な「空間」の例
ユークリッド空間 (Euclidean Space)
構造: 距離と角度
点と点の間の距離や、線と線のなす角度が定義されている
ピタゴラスの定理が成り立つ世界
例: 2次元平面 (R^2)、3次元空間 (R^3)
ベクトル空間 (Vector Space)
構造: 足し算とスカラー倍
「ベクトル」という矢印のようなものが集まった世界
ベクトル同士を足したり、定数倍して伸縮させたり
位相空間 (Topological Space)
構造: 点の近さ(連続性)
「どの点がどの点の近くにあるか」という、非常に柔軟な「近さ」の情報だけを持つ
距離のように具体的な数値で測るのではなく、「つながり方」に着目する
コーヒーカップとドーナツが「同じ形」と見なされたり
図形の本質的な性質を調べたりするのに使われる
確率空間 (Probability Space)
構造: 確率
説明: 起こりうる全ての事象(結果)の集合に、「確率」という「起こりやすさ」の構造を追加したもの
ギャンブルや統計学などの不確実な現象を数学的に分析できる