知識と経験の差
思考実験「マリーの部屋」
天才的な神経科学者マリー
生まれてからずっと白黒の部屋で暮らしている
白黒のモニターを通じて世界について学んだ
色の物理学から、人が色を見るときの脳内の神経生理学的なプロセスまで、色に関する全ての物理的・機能的な知識を持っている
ある日、マリーが部屋から出て、初めて本物の赤いバラを見た
このとき、彼女は何か新しいことを学ぶか?
直感的に、ほとんどの人は「はい、彼女は学ぶ」と答える
彼女が学ぶのは、「赤を見るということが、どのような感じがするのか」という知識
たとえある現象の「機能」を完璧に知っていたとしても、それだけではその現象に伴う「主観的な体験」を知ったことにはならない、ということを示唆している
物理的な事実と、主観的な経験的事実の間には、埋めがたい説明のギャップ(Explanatory Gap)が存在する