心身二元論
心身二元論とは、心(精神)と身体(物質)は、根本的に異なる2つの独立した実体であるとする哲学的な考え方
簡単に言えば、「意識や思考といった『心』の世界」と、「脳や臓器といった『モノ』の世界」は、全くの別物だという主張
中心的な考え方
心(精神): 思考し、感じ、意図する。しかし、空間的な広がりを持たず、重さもなく、物理法則に従わない非物質的な存在。(思惟するもの / res cogitans)
身体(物質): 空間的な広がりを持ち、重さがあり、物理法則に従って動く。しかし、それ自体が思考したり感じたりすることはない、機械のような存在。(延長するもの / res extensa)
「機械の中の幽霊(Ghost in the machine)」や「船を操る船長」に例えられがち
身体という機械(船)の中に、非物質的な心(幽霊・船長)が宿り、それを操縦している
デカルトの二元論
17世紀のフランスの哲学者ルネ・デカルトによって主張
「我思う、ゆえに我あり(Cogito, ergo sum)」
自分の身体の存在や、見ている世界の全てを疑うことはできるが、そのように「疑っている自分」という精神の存在だけは、疑いようがない
思考する精神(心)は、疑うことのできる身体とは根本的に異なる、と結論づける
相互作用問題
もし心と身体が全く異なる別物であるならば、両者はどのようにして互いに影響を与え合うのでしょうか?
「ケーキを食べたい」という非物質的な心の意図が、どのようにして物質的な手を動かすのか?
指に針が刺さるという物質的な出来事が、どのようにして非物質的な「痛み」という心の感覚を引き起こすのか?