USB-DJちょっと分かってきた
2024.12.28に 沼津で大きい音を出したい会 Vol.2 という小規模なDJイベントを主催したのだが、イベント自体の反省点はともかくとして、その過程で家の機材を触ってなんとなく「それっぽい」DJをするための要点や、ソフトの使い方みたいなところが分かってきたので備忘として書く。 XDJとDDJの違い
自分はメインのレコボ用DJコントローラーとして DDJ-FLX4 を所持しており、さらに据え置き機材として XDJ-RR も所持している。今回も含めイベントでは主にDDJ-FLX4の方を持ち出して使用しているが、自宅の練習等では主にXDJ-RRの方を使っている。 しばらく両方の機材を運用してきた結果、この2つの機能にはいくつか違いがあることが分かってきた。
https://gyazo.com/0506e97b629f3b37fca1d7c227be6492
XDJ-RR
https://gyazo.com/d2dc3ffb779bf07325b3855b4195a4e6
DDJ-FLX4
ループ挙動の違い
DDJ-FLX4をレコボと組み合わせて使う場合は4 BEAT LOOPボタンを押すと再生中・停止中にかかわらず、その時点の位置から4 BEAT LOOP状態での再生が始まり、さらにループの2x or 1/2xボタンを押すと、現在の再生位置は保ったままループの長さだけが変わる挙動となる。
一方XDJ-RRの場合、LOOP INボタンの長押しが4 BEAT LOOPの機能を兼ねているが、CUE位置での停止中にこのボタンを長押ししたとしてもループ再生状態にはならない。ジョグを少し回してCUEから外れると、LOOP INボタン長押しでLOOP再生が始まる挙動となる。このため、LOOP IN長押しでの4 BEAT LOOPはやや使いづらく、基本的にはPERFORMANCE PADでBEAT LOOPモードにして、拍数指定でループを開始するようにしている。これなら再生中・停止中にかかわらずループ再生を開始できる。
また、XDJ-RRの場合、ループの2x or 1/2xボタンの挙動にも違いがある。具体的には、クオンタイズがOFFのときにループ再生をして、2x or 1/2xボタンを押すと、再生位置を保ってのループの長さ変更とはならず、ボタンを押すたびにループの最初に戻る挙動となってしまう。これはパフォーマンス中に意図せずやらかしてしまう可能性があり危険なので、ループを使う際は基本的にクォンタイズをONにしておくようにしたい。
オートゲイン機能の有無
レコボにはオートゲイン機能があり、基本的にTRIMをそこまで気にしなくても、音量の違和感なく曲を繋いでいくことができる。しかし、XDJ-RRにはオートゲインの機能はないので、それぞれの楽曲のピーク音量が揃うようにTRIMを調節しないと、曲が変わるたびに音量が変わる残念なパフォーマンスとなってしまう。
ところで、クラブイベントでDJのパフォーマンスを聴いていると、うまいDJの場合は繋ぎだけでなく音質自体も良くなっているような感覚になり不思議だったのだが、今ではうまいDJはこのTRIMの調節がうまく、どの曲でも必要十分な音量が出せているので音質が良いような印象になるのではないか? という分かりを得た。
感触の違い
これはもう単純に機材の値段が違うからだと思うのだが、やはりDDJ-FLX4はエントリー機材ということもあり、プラスチックでほとんどの部材が作られており、軽くて持ち運びに便利な半面、ノブやフェーダーの感触が軽く、プレイしていて若干「やっている感」が乏しいところがある。
一方で、XDJ-RRはオールインワン型のPIONEER機材としてはいちばん安価なモデルではあるものの、ノブやフェーダーの感触の違いは歴然としており、いずれもほどよい重さやクリック感がある。オノマトペで言うなら、「スカスカ」な印象のDDJ-FLX4に対して、XDJ-RRの操作系には「スコスコ」or「グニグニ」な印象がある。その代償として機材自体の重量はDDJ-FLX4の2倍以上にはなっているため、今後持ち出す際にどちらを使うかは悩ましいところである。
それっぽいロングミックスを実現する方法
DJの繋ぎを聴いてなんかうまいな〜と感じる要因にはいくつかあると思うのだが、rekordboxや最新のCDJを使っていればもはやビジュアルでBPMや再生位置を確認できるので、「前の曲と次の曲のビートが合っていること」自体は比較的誰でも簡単にできるようになっている。なんならオートシンクで全部機械さんに任せることだってできる。
そんな現代でも繋ぎの良い悪いが生まれる要因として、いちばん大きいのは ①次の曲の再生を開始するタイミング、そして ②前の曲の音を「抜く」タイミング の2つなのではないか、と最近になって思うようになった。
ロング気味のミックスをする場合は基本的に前の曲の間奏のボーカルがない部分と、次の曲のイントロのボーカルがない部分をクロスフェードして繋いでいくことになるが、前の曲の間奏終わりのタイミングで前の曲の音がスムーズに抜けていって、それと同時に次の曲のボーカルがぴったり入ることでそれらしく聴こえる、というのが自分の主張である。
https://gyazo.com/09477d9aacc5673602deaafe34be9235
前の曲をいちばんいいタイミングで再生して、そして次の曲をいちばんいいタイミングで抜くにはどうすればよいか?
まず、前の曲の今の再生位置から、音を抜きたいタイミングまでの残り拍数Aをまず把握し、ウォッチすること。
そして、次の曲の再生開始位置から、ボーカルが始まるまでの拍数Bを把握すること。
その後、残り拍数Aが拍数Bと一致した瞬間に次の曲の再生を開始し、だんだんと次の曲のボリュームを上げていく。
最後に、残り拍数Aが0になったら前の曲のボリュームを完全に切る。
理屈は上記の通りだが、当然いきなりアドリブでできるわけはないので、これを現場でやるには、事前準備が必要である。
そのためには、各曲のMEMORY CUEを事前にいくつか設定しておく。
設定しておくべきポイントは、1番だけ流してどんどん繋いでいく前提であれば、ずばり各曲の i 再生開始位置、ii イントロが終わってボーカルが入る位置、iii サビのあとの間奏が終わって2番のボーカルが入る位置 の3つである。
i は、次の曲の再生開始位置を簡単に頭出しするため。
ii は、次の曲の再生開始位置からイントロが終わるまでの拍数Bを知るため。
iii は、前の曲の現在の再生位置から、ボリュームを落とすまでの残り拍数Aを知るためにそれぞれ必要となる。
実際にrekordboxでプレイするときのやり方を紹介する。
https://gyazo.com/a63ab817bf497abb4ff3ce4a277e57e0
なお、事前にビートカウント表示を「次のMEMORY CUEまで(小節数)」にしておく必要がある
まず、左デッキで曲がかかっており、右デッキでは次の曲の再生開始位置にCUEを設定し、BPM合わせなども終わっている状態だとする。
次に右デッキのボリュームフェーダーを下げた状態でCUEを押してヘッドフォンだけで音を確認する。このとき、レコボの波形エリアを見ると、 15.3Bars のような謎の数字が表示され、だんだんその数字が減っていくはず。これは、次のMEMORY CUEまでの拍数を表している。CUEボタンを押して1拍経ったときの数字が 15.3Bars ならば、再生開始位置からボーカルが始まるまでの拍数Bは(15小節+3拍+1拍なので)16小節であることが分かる。
一方、左デッキの波形エリアを見ると、同様のBars表示がある。これが次のMEMORY CUEまでの拍数を表しているので、そのまま曲を抜くまでの残り拍数Cとして捉えることができる。
https://gyazo.com/bc4b59a161765307b1174c42843b5d9b
左側のデッキは再生中で23.4Barsの表示。つまり次のMEMORY CUEがあるポイントまで24小節
この場合、左側のデッキの数字が16.1 -> 15.4Barsになるタイミングで右側のデッキの再生を開始する
右側のデッキはCUEボタンで1拍だけ再生した状態で、15.3Barsの表示。つまりイントロ部分は16小節
イントロの長さだけ確かめたら、CUEボタンを離して左のデッキの数字を注視しながらPLAYを押す準備をする
ここまで把握できればやることは単純で、次の曲に繋いでいくためには、次の曲の拍数Bと前の曲の残り拍数Aが一致した瞬間に、次の曲の再生を開始すればよい。
そして、残り拍数Aが0になるまでにEQやボリュームフェーダーを使って次の曲の音をMASTERに徐々に出していき、残り拍数Aが0になる瞬間に前の曲のボリュームフェーダーを落とす。これで繋ぎが完了する。
実際にやってみると、これでかなり繋ぎの「それっぽさ」が出るので試してみてほしい。