生の短さについて
白髪やしわがあるからといって、人が永生きしたと考える法はない。かかる人は永生きしたというのではなくして、ただ永い間「在った」に過ぎない。なぜと言えば、烈しい暴風に、港を出るや否や捕えられ、あちらこちらと引き回され、方々から荒れ狂う風の変り方によって、同じ航路を円形に追い立てられた人を称して、長い航海をしたとは考えられないであろう。彼は長い航海をした者ではない、長い間打ち流された者である。
読書日記