春夜酒交
この文章を書いているのは、4月15日、1時24分であります。桜がちょうど散り切ったある夜、僕は酒を飲み交わし、途方もなく快い心持ちでこの文章を書いています。酒を飲みほどよく酔った中、申し訳程度に水を口に含み、煙を吸い、耳では音を愉しんでいるのであります。
この文章がどれほど支離死滅かは明日の僕に判断を委ねるものでありますが、とにかく僕は今心地よい気持ちなのです。世の中のすべての事象は僕にとって美しいものに映ります。僕の家は通り沿いの高台の2階にあり、窓からは人々が帰る様子が見れます。どんな見知らぬ人であれ、その帰路の歩みのすべてが愛おしく思えます。なぜかはわかりません。とにかくただ、足を前に運ぶ歩調や手の振り様が、すべて尊いものに感じらるるのです。
読者諸君は、僕が何を言っているのかはおそらくよくわからないでしょう。この文章に読者がいるのかという問いはさておき、明日の僕も何を言っているのか理解できないかもしれません。でもそれでいいいのです。というより、それがいいのです。今僕は、明日の僕にも感受できないような、すべてが燈りに照らされた世界を観ているのです。
いま僕は、あらゆる人の生がこのように燈に照らされたものであると良いなと思いました。恐ろしいことですが、純然たる笑みを一人で浮かべながらそのように思うのです。なぜかはわかりません。とにかくそう思うのです。