地の糧
(読者を思わせる書物を読み漁る手紙の相手に対する言葉として)君が書物の啓示に求めているものは外に出て感覚を通さなければ得られない,叡智を得ることが喜びになるわけでない,書を棄てて街や家庭や自分の思想から出ていけ,というようなメッセージが繰り返し言葉や場面を変えて述べられる書物(随筆・詩文集・思想書).このようなまとめ方をしてしまうと過激あるいは淡白な印象を持たれてしまうかもしれないが,一番の魅力はこれが詩的な語りによって読者を困惑させつつも物語に巻き込んでくるあたりかと思う.あるいは,19世紀末の敬虔なキリスト教徒が欲望開放的なこの書物を書いているという文脈も味わい深いポイントかもしれない.
作者は1947年にノーベル賞も受賞しているアンドレ・ジッド(André Paul Guillaume Gide).Cf. アンドレ・ジッド - Wikipedia
日本語訳は数年前に音楽バンドのヨルシカとのコラボレーションで復刊して以降,増販が出るほどに売れ行きは好調
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2025/4/19 16:00
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