alphaスタイル
alpha は LaTeXにおける BibTeX の文献スタイルの一つであり、著者名と発行年を基にした識別子を自動生成する。
具体的には、引用ラベルは著者名の頭文字を組み合わせた略号に発行年の下二桁を付加する形式となる。
複数著者の場合は主要な著者の頭文字を基にしつつ、人数に応じて略号の構成が調整される。
例: Knuth (1984) の文献は [Knu84] のような形になる。
このスタイルは識別子が意味を持つため、単なる番号によるスタイルと比べると引用箇所から文献の内容をある程度推測しやすい。また、文献リストは引用番号ではなく著者名のアルファベット順で並べ替えられる。そのため、数学・計算機科学などの分野では伝統的に利用されてきた背景がある。
使用方法はごく単純で、文書末尾で \bibliographystyle{alpha} を指定し、続けて .bib ファイルを読み込ませるだけで良い。実際のレイアウトやラベル生成規則は BibTeX の alpha.bst によって制御されており、必要であれば .bst 自体を編集して挙動を変更することも可能である。ただし、BibTeX の制約から日本語文献を多く含む場合や細かな整形を求める場合には、BibLaTeX と Biber を使う方式の方が柔軟である。
alpha スタイルは可読性と簡潔さのバランスを保つ中間的な選択肢として位置づけられ、引用が煩雑になりすぎず、かつ文献の識別性も確保したい場合に適している。文献管理が複雑でなく、伝統的な BibTeX の運用に慣れている場合には特に扱いやすいスタイルである。