本プロジェクトの索引の条件
本プロジェクトは,索引ページから辿ることのできないページの存在を認めない,という制約を持つ.
その狙いは「整理整頓しない」方針のprivateプロジェクトを補完する役割を本プロジェクトに与えることにある.
具体的には,「集合知または暗黙知」としての役割を果たす「整理整頓しない」プロジェクトで生まれた情報を,参照や利用のしやすい「形式知かつ記録知」の領域に変換することを意図している.
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1. 記録知と集合知の協働による創造
a) 形式知化された記録知の活用:記録知は、体系的に整理された形式知として存在します。この記録知は、集合知的な議論の場に引き出されて活用されます。つまり、個人や組織が蓄積してきた知識が、多様な視点や考えが交わる場で再評価され、新たな文脈で解釈されます。
b) 新しいアイデアの記録知への統合:集合知的な議論の中で創り出された新しいアイデアは、そのままの形では記録知として保存されません。既存の知識体系と緻密に照合されてから組み込まれます。この過程で、新しいアイデアは既存の知識体系との整合性を考慮した議論を経て更新され、同時に知識体系全体もまた拡張あるいは更新されます。
2. 形式知と暗黙知の抗争
a) 記述による非言語的情報の抑圧:知識を言語化し記述する過程では、必然的に非言語的な情報が抑圧されます。つまり、記述により言語化されていない思考が見えにくくなります。これは形式知の限界を示すとともに、暗黙知の重要性を浮き彫りにします。
b) 非言語的なものによる抵抗:しかし、抑圧された非言語的な情報や思考は完全に消えてなくなるわけではありません。それらは違和感という形で残り続けます。この違和感は、現在の形式知では十分に表現できていない何かが存在することを示す重要なシグナルとなります。
c) 暗黙知の言語化による形式知の更新:この違和感が言語化されると、つまり暗黙知が形式知化されると、既存の形式知に矛盾を突きつけ、その更新を迫ります。これは知識の深化や拡張の重要なきっかけとなり、知的創造のサイクルを推進します。
この協働と抗争のプロセスこそが、メディア論的観点から説明される知的創造の条件です。この視点に立つと、「新たな知は、形式知と暗黙知、記録知と集合知が相互作用しながら発展していくことで創造されている」という構造が見えてきます。
整理整頓しない場所/する場所の相補関係
ツェッテルカステンは、集合知的な思考や議論に素材を提供します。そこで生まれた新しいアイデアや気づきは、ツェッテルカステンで再び記録知の体系に整形されて組み込まれます。この循環が、知識の創造と更新のサイクルを形成します。
厳しい制約を持つツェッテルカステンは、明瞭な言葉や構造の形を取らない「暗黙知」の影響を思考やアウトプットにおいて抑制します。一方で、自由度の高いScrapboxはそのようにして排された暗黙知(例えば記憶や感覚に基づく違和感など)を許容し、非整合的な思考や葛藤による「形式知・記録知」への抵抗を支えます。この思考や葛藤が時間を経て形式化されると、「形式知・集合知」の領域で「既存の形式知・記録知」に問いや矛盾を突きつけて、その更新を促します。
このような図式で、ツェッテルカステンとScrapboxの併用は、記録知と集合知の協働、そして形式知と暗黙知の相互作用を促進し、継続的な知的創造のサイクルを支える個人的基盤の一つになりうるのではないかと考えます。
検証用プログラムの実装