経済学部の口頭試問対策
口頭試問は数学の問題が出題される場合がありますが、経済・経営系の問題が出題される場合もあります。口頭試問とは、募集要項に記されている通り、「課題遂行能力を試す試験」である。ここでは一昨年の経済学部で出された過去問公開し、その解説を行っています。また、なかなか対策が難しい経済・経営系の練習問題をいくつか製作しました。解答してみてください。
概要
受験生は「数学系課題」が課されるAグループの部屋と、「経営系課題」が課されるBグループの部屋に振り分けられます。その振り分けは1次試験における出願書類の内容によると予想されます。また、口頭試問中は受験生自身が悩んでいるとヒントが与えられたり、「そうそう」「それだよ」と相槌を打ってくれれたりするため、面接官の反応で、口頭試問で良好な問答を行えているか否かを判断することができます。
数学系課題が課されたAの部屋の口頭試問
Q.用紙に書かれている設問。シャープペンを用いて計算してもよい。
X_1 〖<X〗_2<〖…X〗_(n-1)<X_nをを満たす
A={x|x_i≤x,x_(i ) が n/2 個存在する最小のx}
B={x|x_i≥x, x_i が n/2個存在する最小のx}
C=(A+B)/2 を求めよ。
面接官による口頭での質問
①n=6、7のとき、Cはそれぞれいくらか?
②nが奇数のとき、n=2_(m-1)と表すことができる。
この場合のCを、mを使って示しなさい。
AO義塾による回答
X_1 〖<X〗_2<〖…X〗_(n-1)<X_nを満たす
A={x|x_i≤x,x_(i ) が n/2 個存在する最小のx}
B={x|x_i≥x, x_i が n/2個存在する最小のx}
C=(A+B)/2
書き換えると
問1
n=6 のとき、 A=x_3, A=x_4 ∴C=(A+B)/2=(x_3+x_4)/2
n=7 のとき、 A=x_4, A=x_4 ∴C=x_4
問2
n=2_(m-1)のとき A=x_m, B=x_(m-1) ∴C=(x_m+x_(m-1))/2
n=2_m のときA=x_m, B=x_m ∴C=x_m
経営系課題が課されたBの部屋の口頭試問
①需要供給曲線の蜘蛛の巣理論についての説明がされた用紙が渡され、5分で熟読するよう指示される
②蜘蛛の巣理論を応用し、需要供給曲線の傾きの違いによって、どのような価格の変動が起きるのかを具体的に説明する問題が出される
(この記事における①図83-4と②図83-5の価格の変化を説明する問題)
③手渡された赤いスティック糊について、英語を用いて1分でセールスする課題
【練習問題①】
(1)日系の携帯電話メーカーが新たなスマートフォンを開発しようとしていると仮定する。君は開発に携わる人間として開発戦略を立てなければならない。欧米のスマートフォンなども含めて国内のスマートフォンユーザーに占めるシェアの2割を獲得することを目標とした場合、まずはどのようなデータを獲得すべきか。考えを述べてほしい。
(2)携帯電話のターゲット層を、日本人女性の30~60代とする。その層に届く広告を打つメディア戦略を立てなければならない。そこで企業の会議で①新聞の広告欄、②テレビCM、③女性誌の三種類を考えることとなった。一つのメディアを選ばなければならないと仮定した場合、どの媒体を選択すべきか。またその媒体を使用した場合にどれほどの人数にリーチ(その広告を見る)ことになるか計算してみてほしい。なおこれらの質問に回答する際においてどの新聞を選択するか、どのキャストを用いてCMを選択するか、どの雑誌で告知するかなどの条件は自由に設定して良い。
(3)ユーザーのニーズを把握するための調査方法として、計量的なアンケートと定性的なインタビューが挙げられる。アンケートはインターネットや質問紙などで大多数に決まった質問に答えてもらうものであるが、インタビューは人数は少数に限られるものの長い時間の対話の中でヒアリングすることができる。新たなサービスを開発しようとした場合にこれらの二つの調査手法はどのように使い分けるべきか。また「消費者のニーズが得られる有効な調査結果」はどのような調査法から得られると思うか。
【練習問題②】
(1)人口12万人のA市で福祉サービスを評価してもらうアンケート調査を行うものとする。人口全員に聞くのは大変なので、無作為に抽出した400人にアンケートを配り、「A市の福祉サービスに満足しているか」という質問項目で「1.満足している、2.やや満足している、3.やや満足していない、4.満足していない」の四択でアンケートを行った。結果としては200人からアンケート用紙の返却があり、うち150人が「1.満足している」と解答していた。このアンケート結果は信頼できるといえるだろうか。それはなぜか。信頼できない場合は調査法をどのように改善すべきか。
(2)今まで見聞きした中で「調査と結果の関係に問題があるアンケート調査」の具体例を挙げてみてほしい。その上で「なぜその調査に問題があると言えるのか」を説明してほしい。
【練習問題③】
(1)「東アジアの奇跡」と言われる日本の高度経済成長に政府が果たした役割について、知っていることがあれば教えてください。
(2)戦後後の復興期(1930年代)の政府の経済介入は「傾斜生産方式」と言われています。これは第二次世界大戦直後の典型的な産業基盤政策です。これは貴重な資源である政府資金・輸入原材料などを国家の重要産業に優先して配分するものです。当時の重要産業は石炭鉱業と鉄鋼業でした。しかし1940年代になると「産業合理化政策」に転化していきます。重要な戦略産業を産業全体として優遇した傾斜生産方式とは異なって、技術で優れた企業を優遇するという特徴があります。これらの二つの生産方式のメリットとデメリットを整理してください。
(3)1973年以降の日本はオイルショックをきっかけに重化学工業中心の産業から脱却する必要性が出てきました。日本の成長を支えたのは自動車や電機などの輸出産業であったことから、ハイテク産業における研究開発の投資を行い、優遇税や補助金を交付することで先端技術の開発を促進するように「誘導」しました。つまり産業政策はかつての政府の企業への直接的介入から、企業の行動を誘導する介入に変化しました。ここまでの議論を踏まえてなぜ政府の経済介入が「直接的介入」から「誘導的介入」に変化したのか考えてください。
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