試行錯誤における偶然とセレンディピティ
#論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrpim/33/3/33_224/_pdf/-char/ja
Abstract
イノベーションの原点となる創造性には、動機→着想→試行錯誤→評価→修正→到達というプロセスが辿られる。ではこの、プロセスにおける試行錯誤を効果的に活用するための対処を、試行錯誤において遭遇する偶然とセレンディピティを中心として考察する。
そもそもセレンディピティの発生は試行錯誤に限定されない。動機そのもの、着想=アイディエーションにおいても発生するtndhjm.icon
セレンディピティとは
偶然に気付き,何らかの価値や便益につなぎとめる認知的行動
偶然に幸運な予想外の発見をする能力のことである
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擬のセレンディピティ
最終的な目標に対して,何らかのめどを得るための「仮目標」を設定し,既存の知識範囲で試行錯誤を始める。すると,想定外の条件や失敗を重ねる中で,何らかの偶然の結果に巡り合い,未知の領域を「仮目標」へと紡ぐヒントを着想する。あるいは,偶然の結果により直接「仮目標」に到達することもあるが,この場合にも未知の領域を跨いだ偶然に秘められた因果を発見することが重要である。
真のセレンディピティ
所与の目的の元で試行錯誤をしていたところ, 当初の目的とは直接的な関係のない革新的なコ ンテキストを着想する。ここでコンテキストと は,文脈,状況,できごという定義で用いるこ ととする[2]。当初の試行錯誤は飛躍を狙った ものではなく,遭遇する偶然を含めて,既存の 知識範囲に収まっている場合も想定される。鍵 となるのは遭遇する偶然が,当初の目的とは別 の方向へと飛躍を伴った認知活動を引き起こす ことである。まずはこの偶然に気付く(察知) こと,当初の目的に固執され過ぎずに,さらに 一見何も関係がないような二つのものを関連付 ける「双連性」や,時に「誤解」さえも喚起す ることが重要である。
これじゃん、異縁連想とか誤読との関連性ってこれじゃん。tndhjm.icon
構造が見えてきたので、セレンディピティとアイデアの構造に対する考察をした
擬のセレンディピティと真のセレンディピティが誘発されるタイミング
擬のセレンディピティ :
「ゆるやかなコミュニケーション」もしくは,「近い専門的バックグラウンド知識を有する技術者とのインフォーマルな交流」
真のセレンディピティ:
何らかのシステム(要素技術を統合する)階層で活動するゲートキーパーに[16],擬のセレンディピティの成果としての要素技術のシーズを紹介して,情報交換を促進するのが望ましい
なかなかややこしいことを言っているけど、つまり高度なテクノロジーを有した技術者に、「こんなのどうですか?」と一部の要素技術に利便性や機能拡張面で特化した技術を紹介して使ってもらうことで、真のセレンディピティが生まれる。
その上でゲートキーパーが持つべき態度というのもある。
技術的な理解の正確さよりも発想の飛躍を重視する。
要素技術の本質を勘違いすることや,実現の不確実さに対しても寛容の態度を示す。
発想を巡らす上での種々の制約条件の変更を許容する。
生成されたセレンディピティを尊重して組織内での認知に努める。
ここらへんの話は登大遊さんがインチキ遊びという言葉で誤読の大切さを語っている。
https://www.technologyreview.jp/s/254889/the-genius-programmer-says-innovation-is-born-from-playfulness/