著作物の利用について
本ページの作成日:2021/3/15
本ページの最終更新日:2021/3/15
2018年に改正された著作権法第35条では、教育機関の授業の過程において、 必要と認められる限度内で著作物を無許諾・無償で複製すること、無許諾・無償又は有償(補償金)で公衆送信(授業目的公衆送信)すること、無許諾・無償で公に伝達することが認められており、授業目的公衆送信の補償金は、教育機関を設置する者が支払うことが定められています。
著作権法第35条関係規定について、2021年度において、本学では同法第104条に基づき文化庁長官が指定する管理団体「授業目的公衆送信保証金等管理協会(SARTRAS)」に対して補償金を支払っており、著作物の授業目的公衆送信が無許諾で可能となっております。但し、 「著作権者の利益を不当に害する」場合は、この限りではありません。
一方で、著作権法第32条により、著作物の引用を適切に行えば、著作物の授業目的公衆送信が無許諾・無償で可能です。
以下、より具体的に解説します。
【著作物の授業目的公衆送信について】
著作権法第35条は、対面授業で利用した著作物を、同時中継で他の会場に送信すること(遠隔合同授業等のための公衆送信)は無許諾・無償で可能とする一方、オンデマンド型オンライン授業や、すべての受講生が自宅等で受信する同時双方向型オンライン授業における著作物の利用に関しては、教育機関の設置者が「SARTRAS」に一括して補償金を支払うことにより、無許諾で可能としています。
2021年度に関しては、東京都立大学は補償金を支払っているため、東京都立大学の授業の実施においては、国内外のすべての著作物について、遠隔合同授業、オンデマンド型オンライン授業、同時双方向型オンライン授業のいずれにおいても、無許諾で利用することが可能です。
ただし、市販物の売れ行きが低下したり、将来における著作物の潜在的販路を阻害したりする可能性があるなど、「著作権者の利益を不当に害する」場合は、無許諾・無償、または無許諾・有償(補償金)で利用できる範囲を超えるものとして、著作権者の許諾を得ることが求められますのでご注意ください。「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」が策定した「改正著作権法第35条運用指針(2021年度版)」では、不当に害する可能性が高い例として、以下のケースが挙げられています。
〇文書作成ソフト、表計算ソフト、PDF編集ソフトなどのアプリケーションソフトを授業の中で使用するために複製すること
〇授業の中ではそのものを扱わないが、学生が読んでおいた方が参考になると思われる文献を全部複製して提供すること
〇授業を担当する教員等及び当該授業の履修者等の合計数を明らかに超える数を対象として複製や公衆送信を行うこと
〇授業の中で回ごとに同じ著作物の異なる部分を利用することで、結果としてその授業での利用分が小部分ではなくなること
〇授業を行う上で、教員等や履修者等が通常購入し、提供の契約をし、又は貸与を受けて利用する教科書や、一人一人が演習のために直接記入する問題集等の資料(教員等が履修者等に対して購入を指示したものを含む。)に掲載された著作物について、それらが掲載されている資料の購入等の代替となるような態様で複製や公衆送信を行うこと(ただし、履修者全員が購入していることが確認されている場合であって、問題の解説等を行う目的で付加的に複製等を行うことは許容される余地がある。)
〇美術、写真等であって、必要と認められる範囲で全部の利用が認められている著作物を、市販の商品の売上に影響を与えるような品質で複製したり製本したりして提供すること授業のために利用するかどうか明確でないまま素材集を作成するような目的で、組織的に著作物をサーバへストック(データベース化すること
〇MOOCs(大規模公開オンライン講義、誰でもアクセスできる)のような態様で、著作物を用いた教材を公衆送信すること
(参照)
(主催:文化庁著作権課 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS))
【著作物の引用について】]
著作権法第32条により、以下の条件をすべて満たすことで、権利者の許諾を得ずに著作物を引用して利用することができます。
公表された著作物であること
公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲内であること
かぎ括弧をつける等、自分の著作物と引用部分が区別されていること
自分の著作物と引用する著作物の主従関係が明確であること
出所の明示がなされていること
改変しないこと
(参考)
【著作物の保護期間について】
著作権の保護期間が満了した場合、著作者の権利が消滅し、権利者の許諾を得ずに著作物を利用することができます。著作権の保護期間は、原則として、創作時から著作者の死後70年を経過するまでとなります(著作権法第51条)。
ただし、無名・変名の著作物の著作権の保護期間は原則として公表後70年(同法第52条)、団体名義の著作物の著作権の保護期間は原則として公表後70年(同法第53条)、映画の著作物の著作権の保護期間は原則として公表後70年(同法第54条)となっています。
(注)法改正により著作権の保護期間が変更される場合は、改正法施行の時点で著作権が消滅していないもののみ、変更後の保護期間が適用されます。過去の変更に関しては、「著作物等の保護期間の延長に関するQ&A」(文化庁)を参照してください。
(参考)