オンラインノートを活用したデータリテラシー教育の実践~TAによるフィードバックとルーブリックの活用による学習活動と成果の質の向上~
取組実施代表者名:近藤 伸彦 准教授(大学教育センター)
取組年度期間:2019~2020年度(2年間)
本ページの作成日:2022/3/1
本ページの最終更新日:2022/3/1
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【取組みの背景】
これまでもICTを活用したアクティブ・ラーニング型授業を実施してきたが、より効果を高めるため、学生の学習活動に対する質的なフィードバックの機会を増やすことが必要であると感じていた。
そこで本取組においては、学習活動へのオンラインでのフィードバックをTA・STAを活用して行うことを試み、本授業設計をさらに有用なものとするための知見、および他の授業にも応用可能な知見を得ることを目指すこととした。
【実施内容】
・「教養としてのデータサイエンス」を対象とし、オンラインの情報整理ツールであるScrapbox※を用いて、学生自ら調べ学習を行いオンラインノートを作成したうえで演習課題に取り組む、という授業を行っている。
※「複数人が同時に書き込める」、「関連した項目をリンクによりつなげる」といった機能があるオンラインの情報整理ツール
・TA・STAを活用し、(1)学生が日々作成するオンラインノートおよびこれを活用した演習課題の解答に対しオンライン上でフィードバック(コメント、採点結果の返却等)を行うこと、(2)フィードバックの結果を記録し、ルーブリックによる評価基準に基づく学習成果の可視化のためのデータ作成を行うこと、の2点を行うこととした。
・ルーブリックについては、既に導入はしていたものの実質的には「課題提出の有無」による採点にとどまっており、「課題の出来」のような質的な評価が不十分であった。そこで、ルーブリックによる評価の実質化として、TAまたはSTAによる質的なフィードバックを行い、その結果をデータ化して学習成果の可視化に用いることを目標とした。
【結果】
・採点基準の明確化と早期のフィードバックは、学生のモチベーションや学習計画に影響を与え、多くの学生の学習行動の質を高めることができた。
・学生はフィードバックに基づいて課題の不十分な点を改善し再提出することが多く、最終的な学習成果についても総合的に向上したと考えられる。
・課題への丁寧で迅速な採点と、内容に対する先輩学生からのフィードバックは、学生からは有用なものと捉えられており、高い満足度があったといえる。
一方で、ルーブリックの利用に関して、課題への質的フィードバックの面において、評価自体よりも文字でのコメントによる効果や満足度が大きかったと考えられ、必ずしも「ルーブリック」である必要性があったとは言い切れない面があることが見受けられた。ルーブリックの活用については今後さらに検討する必要があるものと思われる。
【今後の展開】
・本取組を通して、明確な基準に基づく課題(学習活動)への採点とフィードバックは、学生の学びのモチベーションになり、より高い到達目標に向けた学習行動へとつながるものであることが強く示唆されたと感じている。
・採点が自動化できるものについてはkibaco等LMSの機能を用いても本取組のような早期フィードバックは可能であるが、自動化できないものについては、本取組のようにTA・STAを活用することが有効であると考えられる。
・また、レポートの形式や引用などのアカデミックスキルや、答えが一つに定まらない真正の課題に対する質的なフィードバックなども、大学院生であるTA・STAから行うことは学部生にとって大いに有効なものと思われる。
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