ストーリーテリング
本ページの多くは、C.O.Wilke, 「データビジュアライゼーションの基礎」(2022) を参考にしています(図も本書から引用)
判断を促すためのビジュアライゼーションの効率性・適切性
データ可視化のコツにあるように、「説明志向型」のデータビジュアライゼーションでは、「聞き手・伝える相手」に対して、なんらかの判断と行動を促すこと・変えることが目的となる 情報伝達の効率性や適切性が重要
いずれの志向においても、データから読み取れる事実や発見をいかに理解しやすくするかがポイントになる
より多くの情報・事実・アイデアをより少ない時間・スペース・脳の労力で理解・納得することが重要
ストーリーテリングに沿った効果的な見せ方
伝えたいものは何か? を自らに深く問う
伝えるためのストーリーテリングに沿った効果的なビジュアライゼーションの見せ方をする
「司令官に伝わる図を作る」
「司令官(意思決定者)」の意思決定を支援する
→ 意思決定者が短時間で正確に理解できる図が必要
原則:「複雑に可視化されたものを相手がすぐに処理できると、決して想定してはいけない」
BIツール等の現代的なソフトウェアが悪さをする?
簡単に、洗練された(しかし複雑な)図を描けてしまう
際限なく可視化でき、データの次元を追加したくなる誘惑にかられる
ひとつの例
2013年のニューヨーク発の全飛行機での発着遅延のデータ
頭の中でこの図を一瞬で整理し理解できるか?
https://gyazo.com/74d2664984e9169313eacec66cb73d45
この図で言いたいことはなにか?
https://gyazo.com/387e88e4ca70c48cc7a6ccaedd4dac6b
図を徐々に複雑にする
多くの情報を含む複雑な図を使いたい場面はある
が、いきなり見せると理解できない
https://gyazo.com/0e0f28f1e7d45159ae9d6bafad8f0d1d
最初に簡単なバージョンを見せ、その後に最も複雑な最終バージョンを見せる
https://gyazo.com/31998990065613b24d9bdd3f25a10327
一貫性を持たせ、しかし、反復はしない
同じストーリーに属する図にはある種の一貫性をもたせる
ただし、異なる分析をした図には、異なる可視化手法を使う
https://gyazo.com/f8aa13d650ed4f63646fe41f1c4bfd12
Facebookの株価の5年間にわたる上昇と他のIT企業との比較
https://gyazo.com/fb2334adc8f5ca7368baa6a3b6bfa0c0
上図(a)はFacebook単独の5年間の推移
下図(b)は2012年を100としたときの推移の4企業での比較
(a)はFacebookの株価が急速に上昇したことが言いたい、(b)はその上昇の度合いが他のIT企業を圧倒していることが言いたい
しかし、(a)と(b)は可視化が反復的であり、何を述べたいかが不明確になる
https://gyazo.com/f9fce22dfb2860ac756eabaec082274c
このように、(b)を2012→2017の上昇率の棒グラフにすることで、2つの異なる図が独自の論点をもつことが明確になる
まず、生データに近いものを見せる図から始め、続く図では次第に「導出された値」を示すようにする
いきなり導出した値を示すとわかりづらくなってしまう
かといって逆に、すべての傾向を生データで示すと、図が多くなり、反復的にもなってしまう