日本語話者向け集会場「INC」
うまへるさんらとVRの展示空間を考えているときに、たまたまINCの情報がXで流れてきて、従来の集会場では見かけない現代的な空間設計に興味を持っていた。そう思ってるうちに、hiiriちゃん経由で思想の近そうなBlue Rondoと私を紹介してくれて、「ポスター掲示しませんか?」と主催の銀こんにゃくさんから話が来た。たまたま銀こんにゃくさんが試作段階のワールドを開けてたのでコンセプトや建築の話をした。
環境や空間が人間の行動や認知に与える影響は言うまでもない。環境や現実が我々を作り、環境も現実も我々が作るというフィードバックループが働いている。
空間に丸ごと没入できるVR環境では、建築の構造計算などは無視できるので空間の設計自由度は高い。なんならユークリッド空間である必要すらない。※phiさんのBounded H²やねむり木さんのHilbelt Libraryなど
現実とは違ったまた別の新しい認知や行動が生まれる可能性もある。
銀こんにゃくさんは伊東豊雄の建築思想に影響を受けて、一年かけて美術館や建築を見て回ったそうだ。
伊東豊雄といえばモダニズム建築の均質・機能主義への批判、自然やその土地との調和や共生を目指した建築で、内外の境界が曖昧な流動的なデザインが特徴だ。
INCも曲線を用いた空間構成で連続的に空間が繋がっていく。見渡すといくつかのグループに分かれて会話をしたり、外で寝そべってゆったりくつろいだりが見える。技術的にはカリング(遮蔽された部分の描画を省く)ができないので負荷がかかるが、開放感があって過ごしやすい。
日本には広場がないから、広い空間で思い思いに過ごすというのが慣れていない人が多いかもしれない。Publicの概念が日本だとお役所、お上の意味合いが強くて、語源である<populus=民衆>の主体的な自由のほうの意味合いが薄い。これは日本に広場がないのも要因の一つだと思っていて、デモのような集会への忌避感(あるいは選挙以外の政治への関与)だったり、オープンワールドゲームで何するかわからなくて戸惑う人の多さ、主体的行動の苦手さ、自由より人目を気にしてしまう息苦しさとも繋がっていると思っている。VRCは主体的に好きに探索して行ったほうがずっと面白いわけで、こうした開放感のあるパブリックスペースの在り方はそれに沿っている。
制作者が匿名で顕示欲や商業主義からは距離を取っているのも好感で、そのAtitude(態度)を示しただけでも十分に成功しているといえる。INCができたことで創作意欲が湧いたり、嬉しがってた人を何人か見た。またisagenさんが言ってた、VRChatに入りたての人がアートに関心にあってharuki haruさんのワールドにたどり着けるかは従来だと難しかったけれど、この空間にいる人がうまく橋渡しできる気がする。
私もこうしたオープンスペースでサウンド・インスタレーションやってみたいなと思った。個別にワールドを作ってやると目的の指向性が強くなっちゃうけれど、それが別に目的じゃない人が混ざることで、薄く関心を広めたり、音楽はちゃんと聴かせる意識がどうしても強く働くので、そうではなくて場所と同じように思い思い音を出していい、音出すだけで面白いじゃんってところまで還元してみたくなる。
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無音だといたたまれない気持ちになったりすることもあるし、自分で音楽聞いたり流したりすることもあるから音の扱いは難しい。デフォルトオフのBGMが更新で付くようになってうれしい。
部分的に換気口からブラウンノイズ的な音だったり、葉擦れだったり、屋根上で風の音が強く聴こえたりする。こうしたサウンドスケープが形成されているとより有機的で生きた空間になると思う。元になった伊藤豊雄の建築思想的にも五感が働くことと、自然との調和は重要なテーマである。
この空間で思い思いにすごす自由さを楽しみ、ゆるいつながりから何かが生まれ、長く使われるといいなと思う。