空冷
エンジンにおける最もスタンダードな冷却方式
https://gyazo.com/3e98b50e0468c73f9f32ef12f2d6facb
なのだが今やクラシックバイクぐらいにしか残っていない
EURO5以降はカブも水冷化してるかも...
芝刈り機ぐらいしか空冷が残らない気がする
車も昔は空冷がメインだった
軸出力の一部を取り出して巨大なファンを回す
https://gyazo.com/59fce9b1518c625f670282c2fe319f2d
エンジン警告灯のアイコンも空冷時代のファンが名残として残っている
https://gyazo.com/ce7311c053f9162585dd6fe30577b6c1
戦後に開発された74式戦車も実は空冷である
21,500ccV型10気筒空冷2ストロークターボディーゼルエンジン
2,200回転で720hp
2ストディーゼルは温度がシビアじゃないので空冷で大丈夫だとか
そういえば日本の戦車戦前も空冷ディーゼルだよな....
航空機用のレシプロエンジンは空冷が多数派
セスナ172は空冷水平対向4気筒OHV2バルブエンジン
https://gyazo.com/014cb992964522db569f574dbedeb6da
なんとレガシーな
確かにボクサー4気筒でプッシュロッドが4セットある
一部の戦闘機やレース機は水冷レシプロエンジンもあった
枢軸だとBf109やアエルマッキMC.202フォルゴーレ
コイツらはダイムラー・ベンツの液冷V型12気筒エンジンを積んでいた
旧帝国陸軍もこのエンジンをライセンス生産して三式戦(飛燕)に搭載しようとした
ところが当時の日本の技術ではこのオーパーツまがいのエンジンが作れない事が判明
なので余っていた空冷エンジンを急遽搭載して五式戦が爆誕したという経緯がある
ちょっと前まで生糸と米が主産業だった農耕国だから仕方ないね
そんな日本が今や世界最高峰のエンジン生産国なのである(ホルホルポイント)
連合だとハリケーンやスピットファイア、ムスタング等がある
特にスピットファイアに搭載されたマーリン/グリフォンエンジンは戦車にも搭載された
巡航戦車クロムウェルとかコメット、センチュリオン初期型等
当時は航空機のエンジンを戦車に流用するのが流行っていた
なので米軍のM4シャーマンも空冷星型エンジンを積んでいる型もあったり
https://gyazo.com/01a2eaa818bb9355ee495083d33cdef3
コンチネンタルR975エンジン(星型9気筒)
https://gyazo.com/a7dddbcfb3a924ea3316712df7881d65
M4シャーマン(溶接ボディに前期型砲塔)での載せ替え作業
M4は生産数が膨大なのでバリエーションも多い
星型の他にバスのエンジンを2つ連結させた奴を搭載するモデルもある
もちろんゼロ戦を始めとする旧陸海軍戦闘機や米帝の海軍機、Fw190やテンペスト等は皆空冷である
飛んでいる間は向かい風で冷却できるし
同じ理由でバイクもエンジンが露出しているので走行風で冷却できる
メカがシンプルなので多少被弾しても飛行を継続できる
ジェットエンジン(というかガスタービン全般)も空冷である
空冷というか冷却機構が構造上必要無い
なので出力の割に小型軽量かつシンプルに作れる
現行の米軍の戦車M1エイブラムスもガスタービンエンジンを搭載している
なぜ廃れたのか
各種規制をクリアできなくなったから
排ガス規制
冷却のために(水冷方式よりも)燃料を濃く吹かなければならない
燃焼時の気化熱を利用
そうすると規制に通りづらくなる
騒音規制
水冷方式の場合エンジン内部に冷却水の通り道が張り巡らされている(ウォータージャケット)
実はこれがエンジンのメカノイズを抑えている
空冷にはこのウォータージャケットが無いので基本的にうるさい
空冷エンジンは冷却用のフィンがあるが、このフィン間で音が共鳴して騒音になる
結果騒音規制をクリアすることが難しくなる
サイレンサーからの排気音だけでなく、エンジン自体のノイズも含めて測定されるため
性能の問題
空冷は特別な冷却機構を持たないため熱に対する限界が(水冷方式よりも)低い
なので高回転・高出力化が難しい
そのため排気量を上げて物理で殴るというスタンスになる
排気量が上がれば低回転でも十分なパワーが出る
ついでに回さなくなて良い分騒音規制も通りやすい
ハーレーが大排気量なのもこれらが原因
あと燃料を多めに吹かなければならないので燃費も悪い
排気量を上げるからもっと燃費悪くなる
つまり遅くてパワーがない上に燃費も悪い
そんなクルマ/バイクが売れるわけない
売るにはクラシック路線しかない
各メーカーは空冷を規制に通すため血の滲むような努力をしている
メリット
シンプル
ラジエーターやウォーターポンプなど存在しない
倒してもラジエーターが破壊されて走行不能になる心配が無い
整備性が良い
プラグ交換の度にラジエーターを外さなくて済む
そんなバイクも今時はあんまり無いが
軽い
超小排気量車やオフロードバイクではとても重要
セロー225.iconとかクリーブランドのアレとか
ただしハーレー等の大排気量車を除く
見た目が美しい(と言われいてる)
美しさは所詮主観に過ぎないのだが...
しかし主観の集合が常識であり、そして空冷エンジンは美しいというのが現在の常識らしい
「水冷エンジンは"シービー"や"ゼット"を名乗るな!」という謎の勢力の存在も指摘されているという
見た目はバイクの中でも重要なファクターなのでこういう層が出てくるのも致し方なし
音が良い(と言われいてる)
所詮主観に過ぎ(ry
水冷と比較するとメカノイズがダイレクトに発生するので音がするのは事実
バイク乗りは肯定的に捉えている事が多い
ドカの空冷エンジンの音とか良いよね
そうでない人からしてみればただの騒音でしかない
ステイタス
後述するデメリットのお陰で空冷マシンを維持するのは難しい
がそれを乗り越えて見た目や音に優れるマシンを所有する事は昨今ではステイタスとなりうる
きっとPA/SAや道の駅では羨望の眼差しが向けられるであろう(適当)
デメリット
熱に弱い
夏の大渋滞に巻き込まれると熱ダレしやすい
CB750の教習車仕様では電動冷却ファン付大型オイルクーラーが付いている
教習では低速メインで酷使されるため
なのでCB750ユーザー間ではこのオイルクーラーを流用するカスタムが一般的らしい
オイル交換サイクルが短い
エンジンオイルは潤滑の他にエンジン内部の熱交換(つまり冷却)も担う
そのため水冷方式に比べてオイルが酷使される
結果早めに交換しなければならない
セロー225.iconは確か3,000km毎だったような
MT-07(水冷)なんか10,000km持つらしい
これは冷却方式だけでなく車両の特性にもよると思うけども
まぁメンテサイクルが短いと結果的に良い状態で乗れるので悪いことばかりではない
暑い(熱い)
単純にエンジンから発生する熱量が多い
逆に言えば冬は暖を取れるので良いことも
価格が安くない
GN125Hとかは例外
様々な規制を通すためメーカーはいろんな対策をしている
新型触媒とかFI化とか場合によってはエンジン新造とか
セロー250もエンジンを新開発して搭載している
その新型エンジンはセロー以外にもFZ25やYBRで流用しているのでギリ採算が取れている?
そんな様々な創意工夫がバッチリ価格に反映される
例えばセロー250の新車価格は507,600円だがCRF250Lは497,880円である
実売価格はもっと開きがでてくるであろう
もちろんCRFは国外生産なので単純に比較はできないが空冷だからと言って安いわけではない
むしろ性能を考えると割高な傾向にある
でもCB1100はわりとバーゲンプライスだと思う
新車が選べない
規制は厳しくなる一方なので空冷マシンは基本的に淘汰される傾向にある
排気量を上げて回転数下げて物理で殴る方法もあるが400cc以上は大型自動二輪免許が必要
金が余分に掛かるだけでそんなに難しくないけどね
中免でも乗れる条件で探すとSRとかセローとかDSぐらい?
STとかバンバンとかエストレヤも皆生産終了
EURO5が適用される頃には新型SR400の価格がCB400を上回ることになる、と予言しておく
もしそうならなかったらこの文はコピペにして良いです↑
となるとどうしても空冷マシンに乗りたくば中古市場を探す必要がある
のだがぶっちゃけ茨の道である
中古の空冷とかスッカスカにやつれたTW(だいたいキムタクのせい)とかが横行している
そもそもノーマル車が少ないのは中古市場の常なのだが
人気車種だとメーター巻き戻しも平然と行われる(かつてのゼファーとか)
初心者だとカス掴まされる事が多い
SRの個人売買とかやめろぉ!(建前)やめろぉ!(本音)
信頼できるショップを見つけるのが重要
まぁこれは空冷マシンに限らず旧車全般に言えることですね
完全余談2017/11/01
著名なポルシェレストアラーが新型の911エンジンを開発
しかも空冷らしい
https://gyazo.com/6be3ed98827c8b929cb1693eadbb324e
https://gyazo.com/0a79bb659e8215e7ca9920be702ed227
https://gyazo.com/5155096c51933c60b87021af903902ca
911特有の"デカ尻"が見えてくる
四輪の場合は排気量もデカイしリッター辺りの馬力もさほど絞り出していないので空冷化の余地もあるかもしれない
革新的な触媒技術や燃焼方法が出てくれば空冷エンジンもまだまだイケるかもしれない
#メカ