ドメイン駆動開発
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昔、業務システムを作る価値は、効率化や高速化にあると思っていた。今は、それらはむしろ副次的効果だと思っている。業務に係わる人々の間に新しい階梯の新しい調和を作り出すことが、システムエンジニアリングの主眼であるべきだ。そしてそれをするために、ドメインに働く諸力を理解する必要がある。 会計で言えば、複雑化する財務報告がある。毎月の予実差異分析に現場部門は辟易している。期末の着地が見えず経営者は不安だ。子会社の状況はよくわからない。そんな階梯から次にどこを目指して進むのか。これら諸力の間にどんな調和点を見出せるのか。それが、システムエンジニアリングの課題だ。
新しい「階梯」がどこにあるにせよ、そこに至るにはITが必要だ。システムエンジニアは、自分たちが思う以上にドメインの未来を左右しているんだ。にも拘わらず、ほとんどのエンジニアは、ドメインの未来にコミットせず、他人ごとだと思っている。ドメインにとってもエンジニアにとっても残念なことだ。
先ごろ、エンジニアの側から美術館アーカイブに関する問題が指摘され、議論がなされた。大変興味深く、勉強させて頂いた。エンジニアが関わるあらゆるドメインで、そうした議論が生まれるなら、ドメインとシステムエンジニアリングのいずれもが、もっと創造的でわくわくする世界になっていくと思う。