ティールはリバタリアニズムだけではない
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「彼が言っていることは、いわゆる産業革命以降の技術発展は大体1960年代から70年代に突然巨大なブレーキが掛かってしまったということです」 「つまり、週に日に4~5時間の労働で週に3〜4日働いて、年に20週くらいの有給休暇を取って皆が幸せに暮らせる、そのような時代がもしかしたらもう今ごろ達成できていたはずだが、時代の意識変化のために終わってしまった、と。ただ、1つだけ著しく発展したところがあると、それがITの世界だと言っています。しかし、その世界は何も人間には幸せをもたらしていないのだと、彼は言っているわけです」
彼は典型的なテック起業家とは異なるバックグラウンドを持っている。西ドイツで生まれ、南アフリカとサンフランシスコ・ベイエリアで育ったティールは、1980年代後半にスタンフォード大学で哲学と法律を学んだ。彼は同大学では珍しい保守的な学生新聞「ザ・スタンフォード・レビュー」の設立にも関わった。 トランプが大統領就任時に大手テクノロジー企業のトップと会談した際、ティールはパランティアの役員として時価総額が数十倍もある企業のトップたちとともに出席した。他のトップが移民エンジニアのビザを確保できるよう陳情する中、ティールはホワイトナショナリストの会合に出席するというふうにある種の「逆張り」の立場に立っていた。 面白いtkgshn.icon
「彼らは一応トランプ派の振りをしているけれども少し違うアジェンダがあるように見えます。恐らくティール派は、トランプは道具だと思っているところがあって、今トランプが人々の感情を揺さぶって動かしているのを利用しています」
「その先の世界は何かというのは私にはよく見えませんが、今簡単に言うとアクセルレーショニズム(加速主義)と呼ばれる思想の1つなのだろうと思っています。一種今起きている混乱のようなものを極限まで持っていって、そこで大きな転換のようなことが起こし、その向こうへと持っていこうとしているのではないかと思います」。 彼は弁護士になろうとしていたが、同時に専攻していた哲学が恐らく彼に最も影響を与えた、と会田は言う。ティールはスタンフォードでフランスの現代哲学者ルネ・ジラールの下で勉強していた。ティールはジラールが自分の人生に多大な影響を与えたと語っており、作家で投資家のTim Ferrissに、『世の初めから隠されていること』をジラールの代表作とみなしていると語っている。 ティールはこの理論をスタートアップとベンチャーキャピタルに応用する方法を見つけたようである。「人はどうでもいいようなことでも激しく競争し、一度戦ったらますます激しく戦うようになります。模倣から完全に逃れることはできないかもしれませんが、模倣が私たちを動かしていることに敏感であれば、あなたはすでに多くの人より先を行っているのです」とティールはビジネスメディアの取材に対し語っている。彼は著書『Zero to One] 君はゼロから何を生み出せるか』で、競争、つまり他者の模倣は敗者のすることだと説いている。