Stigmergyと時間微分〜受動的で積分的な外界 - ryamadaのコンピュータ・数学メモ
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Stigmergyは
"Stigmergy is a mechanism of indirect coordination between agents or actions."(Wiki)
アリが食物探査のときに道にフェロモンを残して、アリ個体群と道上の物質とが「残す」「感知する」という相互作用のもと、探索行動が組織化するような現象のこと
Stigmergyについて少し整理する
複数の(多数の)「外界感知能力」と「外界への働きかけ能力」とを持つ「生物個体」がある
この段階で、すでに「生物個体」と「外界」との両方が存在することを前提としている
「生物個体」同志は情報交換できる(Stigmergyの例では、「生物個体」同志の情報交換を特に扱わないが、その存在を認めてもよいだろう。もしくは、「生物個体」同志の情報交換は、すべて外界を介して行う、と再定義してもよい)
「外界」は「生物個体」に働きかけられ、変化する
フェロモンを「外界」に置くこと、「巣」を形作ることなどは、すべて「外界」への働きかけ、働きかけの結果としての「変化」である
「外界」の変化は「生物個体」によって感知される
「外界」の変化の継続時間は、マルコフ連鎖(こちら)における「時間の深さ」に相当する したがって、Stigmergyというのは、多数の「生物個体」が「外界」を介することで、「時間深度」を深くした「マルコフ連鎖」とそれがもたらす状態のこと、と言い換えられそうだ
ここで「外界」と言ったが、「生物個体」の構成要素としての「細胞」にとって、「生物個体」の組織自体が「外界」であるとすれば、「物」・「構造」と言ったものが「時間の深さ」を保証している、とも言い換えられる
反応拡散系(こちら)では、化学分子が「生物個体」であって、「外界」は「濃度分布」のことになる
乱流(こちら)では、粘性のある分子が「生物個体」であって、「外界」は「流れの形」のことになる
微分方程式では、個々の要素が「生物個体」であって、「生物個体」同志の直接相互作用は、1次の時間微分であって、(正確には違うけれども)、「時間深度」は高次の微分の利用のことになる
「外界」の「変化」を特別扱いせずに、「外界」とは「感知能力」と「働きかけ能力」とを持たない「受動的な存在」であるが、「変化」するもの、「変化が蓄積するもの」として、変数に組み込むこともできるだろう
その場合には、「変化が蓄積するもの〜積分的にとらえる」ということになる