AWSによるstrip-mining問題
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from OSSライセンスの歴史概観
COSS企業の台頭に伴い、パブリッククラウド事業者との対立が鮮明になってきました。特に AWS です。(厳密には AWS に限った話ではないのですが、わかりやすさのために限定します)
クラウドインフラのAWSに関しての言及
Amazon の AWS 運用方針は「少しでもユーザーに需要がありそうなものはとにかく全部サービスとして提供する」というものです。その中には Elastic Search や MongoDB をほぼそのまま提供するようなものが多くありました。
もちろん商用利用すること自体は問題ではないのですが、 AWS がそれらによって多くの利益を得ているにもかかわらず、そこでの改善点がオリジナルのソースコードに還元されていないことが長らく問題視されていたのです。
上に挙げたライセンスのうち最も厳しい Affero General Public License (AGPL) でさえ、インターネット越しにユーザーにウェブサービスを提供するケースを考慮したものであり、このようなクラウド環境に閉じたソフトウェアの利用は考慮していませんでした。
そのため、 AWS は当該ソフトウェアに関連するソフトウェア(ユーザー向けの UI, 安定して管理するためのモニタリングソフトウェアなど) を公開する義務がありませんでした。
このような問題を、Strip-mining問題と呼びます
Strip-mining とは露天掘りのことです。 「公有地から大企業が搾取する」 というイメージから連想した言葉かと思われます。
この問題は 2018 年以降、 MongoDB, Inc. や Elastic 社が AWS に対抗するためにライセンスを変更した事によって顕在化してきました。
参考:Commons Clause stops open-source abuse