人生後半の戦略書
https://gyazo.com/2dcc83bfd82e90205e3bfdd98b2cf752
ターゲットは本書ではストライバー(成功者)を中心にしているようだが自らはごく普通の労働者という自認のうえ読んだ
表立っていえるようなさしたる成功はないままエンジニアとして10年ほどほどに生きてきたが、近年ライフイベントや家族の成長と、仕事において新しいことを取得すること、の2つの均衡が崩れ始めており、時間を削って自分のキャリアに充てるというのができなくなった自覚がある
そういう意味では読後に今後の人生設計の一つの指標にしたいと思える内容だった
大きなプレッシャーのかかる仕事をしている人は、スイッチを切るように不安感を一時的に遮断しようとしてアルコールで自己治療する傾向があり、なかには、危険なほど大量の飲酒をする人もいます。
それプレッシャーじゃないですよ、と言われればそこまでだが、自責傾向がかなり強いため頷きがすごかった
キャリアにおいて成果を上げることの限界はある
新しい知識を得て新しい解決方法を確立できるような流動性知能と、これまでの経験から蓄積されたものを他者に与えうる結晶性知能といった言い方で本書はわけている 前者は中年にかけて下がっていくことは必須で、冒頭の映画スター、様々な著名人のエピソード(特にアカデミック関連)から青年期の成果以降の中年期では成果をあげられないなど
バッハなど人生後半で生き方を変えて成果をあげた例などもある
流動性知能曲線が落ち込みはじめたら、「今やるべきことは抵抗することではない」「抵抗しても、満たされない執着が倍増し、苛立ちが募るだけだ」というサインです
職業的な自己モノ化をし、「私=私の仕事」と考えている場合に、幸福感と能力がどう変化するかを調べた研究は存在しません。しかし常識的に考えて、職業的な自己モノ化は、身体的な自己モノ化に引けを取らないほどひどい圧制でしょう。なにしろ、マルクスの主張どおり、自らが無慈悲な労働監督となり、自分をこき使い、単なる経済人として扱うことになります
ほぼすべての哲学の流派において、プライドは人を徹底的に腐敗させる凶悪な罪とされています。仏教では、プライドを意味する言葉として、 慢 という言葉が使われます。これは、自分を高く見て他者を軽視することで結局己を苦しめることになる「慢心」を意味するサンスクリット語に由来します
失敗を強く恐れている人たちが、実際にことを成し遂げてもたいした喜びを感じられず、重大な場面で失態をさらすことを心配しているとは、なんと悲しい皮肉でしょう
「優れている」ことをアイデンティティーの核にすると、失敗など絶対にできなくなります。失敗したら、モノ化された自分から破門されてしまいます。そんなのは一種の死と同じです
仕事に幸福を見出したり、仕事の成果を追い求めることから脱しましょうというのが本書のメッセージ
「満足」とは"持っているもの"を"欲しいもの"で割った値
つまり欲しいものを減らせば求めることはなくなりますよ、という話
「死ぬまで足し算を続けることが、幸福な人生を手に入れるための正しい方程式なのか?」
また精神的なつながりをもつ友人が少ないというのも深く自覚した
高校の同窓が東京にいるのを知っているが子どもの成長や自分の仕事を理由に会わなくなってきている
本書では Deal Friends, Real Friends と分けている
仕事つながりの友情は、大義を共有している場合は満足をもたらすこともあるが、本当の友情の代わりにはならない
職場における友人関係があるかないかでいうと、なくはない、という程度の認識だが、自分から見ても彼らから見ても、相互に利害関係がある Deal Friends であることは言うまでもない
定期的によく会っているコミュニティは、スナック関連、前職友人、前々職友人だが彼らと精神的な自らの指向性や信仰、哲学について会話しているかというと怪しいものもある
本書においてリミナリティ(人生の不安定な過渡期を表す言葉、各ステージの間)という言葉を用いているが、まさにその狭間にいる危機感の正体がなにかを少し垣間見た気がした また人生後半においてエンジニアは辞めて別のことを考えたいといった今ぼんやりと思っていることへさらに背中を押されるような本だった
結晶性知能を活かしやすい、もっと一般的な職業もあります。その最たる例が、教師です。