基本的発想データ群
(basic abductive data:BAD)
すなわち、われわれ人間という動物は、質的に互いに異る一つのデータ群を、あまりに複雑なかたまりとして目の前に一度に提示されると、そこからなんの意味をも発見的に組み立てることができず、ただ混乱に陥るにすぎない。ところが、複雑すぎず、相互に親近性は持ちながら、しかもある程度質的に異る一チームのデータに接すると、事態は大いに異ってくるのだ。すなわち、われわれはそれらのデータの組み合わせから、なんらかのまとまったヒントを暗示されるのである。これらのデータの一つ一つは、「とき」と「ところ」と「出所」と、「採集記録者」を持った個性的なものである。しかしその個性的で相互に異質なデータの一チームからは、自然新しい独創的解釈がデータの部分部分の結合の中から暗示されるのである。
『発想法』(川喜田二郎)p.104-
基本的発想データ群とは、上のようにアイデアの出発点を促すような基本的な一小チームのデータ群のこと。
→BADから収束思考と発散思考が同時に起こる